【6】ルーキーとベテラン、切断ピエロ ページ6
声のした方を見上げると、そこにはニコニコとこちらを見つめる丸っこい顔の中年の男の人が居た。
「よっ、オレはトンパ」
トンパと名乗ったおじさんは名乗りながら降りてくると、よろしくとゴンくんと握手をする。
その間にさっき私にプレートをくれた人が、今度は三人に同じものを渡していた。
403、404、405、そして私が402ということは、確かにこれは来た順に配られるものなんだろう。
「新顔だね君達」
「わかるの?」
ゴンくんに聞かれたトンパさんは得意げに語る。
なんでも10歳から35回もテストを受け続けている試験のベテランらしい。
でもそれって、
「35回試験に落ちてるってことになるよね……」
「いばれることじゃねーよな」
「確かに」
近くに居た二人も同じことを思ったみたいだった。
そういえば、君達ってまとめられたってことはこの三人も私と同じ
そう考えながらトンパさんによる常連受験者の紹介を聞いていると、突然凄まじい悲鳴が響き渡った。
会場の全員の視線が、悲鳴のした方に集まる。
「アーラ不思議♡腕が無くなっちゃった♤」
そこにはスートがあしらわれた特徴的な服を着たピエロメイクの男と、切断された自身の両腕を見つめて叫び声を上げる男が居た。
「人にぶつかったらあやまらなくちゃ♧」
つまり、腕が無くなったあの人はピエロ男にぶつかってその怒りを買ってしまったんだろう。
私は先程の三人のと出会いを思い出す。
「……ゴンくん、私達お互いぶつかったのがあの人じゃなくて良かったね……」
ピエロ男に目線を向けながら言うと、ゴンくんも無言で頷いた。
「ちっ……アブない奴が今年も来やがった」
険しい面持ちのトンパさんが再び解説を始める。
44番奇術師ヒソカ。
去年試験官を半殺しにて失格となり、20人の受験生を再起不能に陥れた男。
言われた通り絶対に近寄らない方が良い――というよりも、言われなくても近寄りたくないタイプの人間だ。
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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください! (7月8日 23時) (レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裕佐 | 作成日時:2023年6月4日 15時