【46】偽証と忠告、緋色の眼 ページ46
｢12本の足を持つクモのイレズミ！！あれはまさか……｣
衝撃で反応が遅れた私より先にレオリオさんが呟いた。
あれは幻影旅団のメンバーの証……
｢本当？｣
｢ああ間違いねェ。有名な話だし、直接クラピカからも聞いたんだからな｣
でも、
｢違う……あいつは旅団のメンバーじゃない……！｣
分かっていても、早鐘を打つ心臓も足の痛みも嫌な汗も止められなかった。
｢うっ……｣
その時、突如聞こえてきた声に顔を上げる。
｢ひ……な、なんだお前！？｣
青ざめた声で怯えたように言う試験官はクラピカを見ていた。
次の瞬間、男の身体はクラピカに顔を掴まれ、片腕だけの力で持ち上がる。
余程力を入れているようで、掴まれた顔から嫌な音が聞こえる。
そして、
｢わっ たっ ま、待て！！わかった、オレのま……｣
言い終えるのを待たずに、クラピカの力を込めた拳が試験官の顔を地面へ向かって思いっきり殴りつけた。
｢3つ忠告しよう｣
｢1つ、本当の旅団の証にはクモの中に団員ナンバーが刻まれている｣
｢2つ、やつらは殺した人間の数なんかいちいち数えない｣
｢3つ、二度と旅団の名をかたらぬことだ。さもないと私がお前を殺す｣
そう言いながら顔を上げたクラピカの瞳が真っ赤に染まっている。
｢緋の眼……｣
その深い赤のあまりの美しさと迫力に思わず息を飲んだ。
｢大丈夫か、クラピカ｣
｢ああ、私にケガはない｣
｢つーかお前に近づいても大丈夫か？｣
初めて見た怒りを露にするクラピカの姿と、その緋色の眼に受けた衝撃で足の痛みはいつの間にか治まっていた。
私なんかより心配なのはクラピカだ。瞳の色は戻っているけど、随分と落ち込んでいるように見える。
｢……分かっていたんだがな。一目見てたいした使い手ではないことくらい｣
｢あのイレズミも理性ではニセモノだとわかっていた。しかしあのクモを見たとたん目の前が真っ赤になって……｣
難しい顔をしたクラピカが続ける。
｢……と言うか実は、普通のクモを見かけただけでも逆上して性格が変わってしまうんだ｣
｢あれま……｣
｢早く言えよそーゆーことはよ……｣
少し顔を引き攣らせたゴンくんとレオリオさんに、クラピカは膝を抱えて座り込んでしまった。
纏っている空気があまりにもどんよりとしていて、私もその近くにしゃがみ込む。
クラピカは自嘲するように続けた。
｢フッ……しかしそれはまだ私の中で怒りが失われていないという意味では、むしろ喜ぶべきかな……｣
【47】決着と条件、死にそこない→←【45】拳とイレズミ、三回戦
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 119人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください！ (7月8日 23時) (
レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：裕佐 | 作成日時：2023年6月4日 15時
