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【45】拳とイレズミ、三回戦 ページ45

「オレは命のやりとりじゃなけりゃ興奮できねェ。ハンパな勝負は受けねェぜ」

「血を!!臓物を!!苦痛を!!」

「いいだろう」

妙に演技掛かった喋り方でそう言った試験官に、クラピカはあっさりと返事をした。

「勝負の方法を決めてくれ、それに従おう」

「ほ、ほう。いい度胸だな」

「……それならば、相手が負けを認めるか死ぬかするかまで戦うデスマッチを、オレも提案する。ただし……」

「たとえお前が途中で負けを宣言しても、そこでオレが攻撃をやめるなんて望みは持たないことだな」

男はボキボキと関節を鳴らすと怪しい笑みを浮かべる。

「わかった。それでいい」

「始めようか」

相手はずっと脅してるつもりなんだろうけど、クラピカはそれを意に介さず淡々と試合を進めようとする。

民族衣装だろうマントと上着を脱ぎ、完全に勝負に入る体勢になったクラピカに試験官が待ったをかけた。

「言い忘れたことがある。武器を持つことは禁止する!純粋な殴り合いだけで勝負だ」

「なにしろこっちは『試験官』とはいっても凶器の類は持つことを許されていないならな」

「なるほどわかった。あとは何かあるか?なければもう始めたいのだが」

「あ? うむ……」

なんの躊躇も無く武器を捨てたクラピカ。

その様子を見た試験官が本格的に戸惑いを隠さなくなってきているのが見て取れた。

と、思うと男は突然拳を握りしめ好戦的な笑みを浮かべる。

その様子を見てレオリオさんが声を上げた。

「おいおい、大丈夫かよクラピカは。ありゃ相当ヤバそうな相手だぜ」

「うーん……」

その言葉に反応するように声を漏らしたのはキルアくん。

そうこうしているうちによくやく勝負が始まったみたいだ。

「心配いらないと思うよ」

その様子を見守りながらゴンくんが口を開いた。

「ん?」

「だってあいつ見ててもゾクゾクしないもん」

首を傾げたレオリオさんにゴンくんが続ける。

「なんじゃそりゃ?」

「あの試験官は見掛け倒しで大した相手じゃないってことだよ、レオリオさん」

「あんなにヤバそうなのにか?」

「ひゃおっ!!!」

突如響いた奇妙な掛け声に会話をしていた私達の視線が試験官に釘付けになる。

高く宙を舞い拳を振り上げた男は、そのままの勢いでクラピカのすぐ目の前にその腕を振り下ろした。

重い音と共に素手で床が砕ける。


だけどそんなことよりも私の目を奪ったのは、

試験官の男の右肩に刻まれた刺青だった。

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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください! (7月8日 23時) (レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:裕佐 | 作成日時:2023年6月4日 15時

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