【44】風と炎、瞬発力 ページ44
勝負場の四隅に置かれている松明で、試験官とゴンくんが同時に火をつけた。
今まで気にとめていなかった風が心做しか強くなったように感じる。
｢あのローソク、普通ならどのくらいで燃え尽きるんだろうな｣
そう呟いたのはキルアくんだった。
｢5.6時間ってとこじゃないか｣
｢下から吹き上げる風が強いな。つまりその間中うっかり動けないし、よそ見すら出来ねーってことか｣
全員で勝負の様子を見守っていると、突然ボンッという小さな爆発音のようなものが聞こえた。
｢今の音って……！｣
｢おいっ｣
私が呟くのと同時にレオリオさんが指をさす。
｢見ろよゴンのローソク！明らかに奴よりも炎の勢いがでかいぜ！！｣
言葉の通り、ローソクの炎は通常の二、三倍程の大きさになっていた。
炎は勢いをそのままにどんどんとロウを消費し短くなっていく。
｢あんなのずっと手で持ってたらゴンくんが火傷しちゃう！｣
｢心配すんのそこかよ？｣
｢くそ！！やっぱり長い方に仕掛けがあったのか！！｣
だけど、私達の心配を他所にゴンくんはニッコリ笑うと、突如手に持っていたロウソクを地面へと置いた。
突然の行動に試験官も驚いている。
｢火の勢いが強いってことは、ちょっとの風じゃ消えないってことだね｣
次の瞬間、ゴンくんは凄い勢いで試験官の目の前まで移動すると、その手に握られているローソクにフッと息を吹きかけた。
｢勝ち！｣
当然あっさりと消えたローソクの炎に、ゴンくんは満面の笑みでピースをしてみせた。
｢よし！！これで一勝だぜ！｣
白星を上げたゴンくんが駆けながら戻ってくる。
｢あの状況であんな作戦、よく思い付いたね｣
｢Aの声でローソクをずっと持ってなくてもいいって気付けたんだ！｣
｢作戦を考えたのはゴンくんでしょ？本当に凄いよ！｣
ゴンくんと一通り盛り上がった所で、クラピカが名乗りを上げた。
｢よし、次は私が行こう｣
｢げ、すげー体……と顔｣
出てきた試験官は、レオリオさんの言う通り筋肉の付いた大きな身体に、人体実験に失敗したような顔の気味の悪い男だった。
｢今までに19人殺したが……19って数は切りが悪くてイライラしてたんだ。うれしいぜ｣
そう言いながら男は左胸に刻まれたハート型の模様を指す。
｢チィ、今度は連続殺人犯か！？｣
そう考えるのが妥当なんだろう。
だけど、この試験官からはその言葉に見合った強さや気迫のようなものが感じられなかった。
きっとこれはハッタリだ。
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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください！ (7月8日 23時) (
レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：裕佐 | 作成日時：2023年6月4日 15時
