【41】戦略と降参、一回戦 ページ41
名乗り出た私に意外と言いたげな顔が向けられる。
｢A……何か考えがあるのか？｣
｢うん。まず確認したいんだけど、みんな負ける気はないよね？｣
そう聞くと三人全員が肯定した。
｢……私はみんなが試験に合格するためなら、わざと負けてもいいと思ってる。それに戦い方が自由ってことは、向こうがどんな勝負を仕掛けてくるか分からないってことだよね｣
｢だから、まず私がこの勝負を受けて負ける。勝負の方法は多分毎回変わるけど、毒味役にはなれると思うんだ｣
｢Aは本当にそれでいいの？｣
ゴンくんに聞かれて頷く。
｢もちろん、それをしたら残りの試合で絶対に三勝しないといけなくなっちゃう。それに私だけ勝負から逃げてるって思うかもしれないから、みんなが納得してくれるならだけど……｣
｢……分かった、ここはAに任せよう。ゴンとレオリオもそれでいいか？｣
｢ああ、せっかくここまで考えてくれてるんだしな｣
｢オレ達で絶対三勝するから安心して！｣
｢ありがとう……！｣
お礼を言ってから足場の先の方まで移動する。
｢私が行きます！｣
ここからが本当の勝負だ。
向こうにこちら側の作戦を悟られないようにしながら極力早く試合を終わらせる。
｢随分時間をかけられたな……まあいい！闘う者のみ渡られよ！！｣
試験官がそう言うと、立っている足場の下から一本の柱が伸びてきた。これの上を渡れということらしい。
ここで落ちたら元も子もないので、慎重に渡りきった。
｢さて、勝負の方法を決めようか｣
｢オレはデスマッチを提案する！ 一方が負けを認めるかまたは死ぬかするまで闘う！！｣
この勝負方は想定内だ。
その上負けを認めれば勝負が終わるなんて都合が良い。
｢……分かりました。その勝負、受けます…！｣
なるべく絞り出すような声で宣言しながら、大盾を手に持ちかえた。
｢その覚悟見事！それでは――｣
｢勝負！！｣
試合開始の宣言と共に試験官が勢いよくこちらに向かってくる。
その姿を目視した後、手に持った盾に完全に身を隠す。
そして私は大きな声で叫んだ。
｢まいりました！！｣
相手の動きが止まった気配に顔を向ける。
走っている体勢をそのままに、試験官は拍子抜けしたような顔で声を出した。
｢……今……なんと？｣
｢まいりました。ごめんなさい、やっばり怖くて……私の負けです｣
｢くっくっく｣
試験官が笑う。心なしか苛立っているように見えるのは予定が狂わされたせいだろう。
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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください！ (7月8日 23時) (
レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：裕佐 | 作成日時：2023年6月4日 15時
