【5】君と抱擁、他人の空似 ページ5
透き通るような金髪に利発そうな顔、そしてぱちりとした猫のような目……
「ネルラ……!」
考えるよりも先に身体が動いて、私はその人を抱きしめていた。
「…パイロ……?」
「なんだクラピカ、知り合いか?」
隣から聞こえた声で我に返る。
この人の名前は、クラピカ……?
私は慌てて腕の中の人を解放して頭を下げた。
「っ……ごめんなさい!あなたが私の親友にすごく似てて……それで、」
そうだ、ネルラがこんなところに居るはずがない。私は何をしているんだろう。
「……」
恐る恐る顔を上げると、クラピカと呼ばれたその人は何かを考えるように黙り込んでいた。
相当怒らせてしまったのかもしれないと思って、私は再び口を開く。
「あの、ほんとうにごめんなさい!急に抱きしめられたら誰だって嫌ですよね……」
もう一度謝罪をすると、ハッとしたように上げられた瞳と目が合う。
「……!いや、気にしないでくれ。決して怒っていた訳
では無いのだよ」
「よかった……!私はA。……こんなファーストコンタクトになっちゃったけど、同じ受験生同士よろしくね」
「私はクラピカだ」
……やっぱり似てる。
失礼な行動を許して貰ったことに感謝しながらも、その思いは拭えなかった。
「オレはゴン!こっちがレオリオだよ!」
「ゴンお前!勝手に紹介するなよ!自分で言いたかったのによォ」
元気に教えてくれるゴンくんと、それに不満を漏らすレオリオさんのやり取りに自然と笑みが零れる。
「ふふ、みんな仲良しなんだね。羨ましいな」
「Aさんもオレと友達になろうよ!」
提案してくれるゴンくんの無邪気な言葉に、心のもう随分と放置されていた部分に風が吹く感覚がした。
「ありがとうゴンくん。それと私のことはAで良いよ」
「分かった!よろしくね、A!」
不思議な子だ。ただ話しているだけなのに何か惹き付けられる。
「Aもさっき着いたってとこなのか?」
「そうだよ。ちょうど10分くらい前かな?それにしてもすごい人数だよね」
「一体何人くらい居るんだろうね?」
ゴンくんがそう言うと、突然上の方から声が聞こえた。
「君達で405人目だよ。あんたはさっき番号札を貰っただろ?」
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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください! (7月8日 23時) (レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裕佐 | 作成日時:2023年6月4日 15時