【36】仲間と再開、多数決 ページ36
「うわ…っと」
突然の落下だったけど、なんとか安全に着地ができた。
本来なら相談して扉を選ぶはずだったのに、先に塔に降りてしまったことに申し訳なくなる。
……それにしても、てっきり二三畳程度の小さな部屋に落ちると思っていたのに、私が落ちたこの部屋はかなり広々とした空間をしていた。それこそ上で見た扉が全て収まるくらいには。
ということは――
考えた瞬間、天井がカコカコと動かされる音がした。
と思うと一度静かになる。
そして数十秒後、ガコンッという音が四箇所から同時に聞こえて扉が回転し、一斉に人が降りてきた。
「みんな!」
「A!?」
落ちてきたのは案の定ゴンくんとキルアくん、クラピカとレオリオさんだったけど、全員狐につままれたような顔をしていた。
別々の道に進むつもりだったのに、結局同じ場所に来たんだから当然だ。
「くそ〜五つの扉のどこを選んでも同じ部屋におりるようになってやがったのかよ」
「短い別れだったな」
降りる前にお別れの挨拶をした四人を想像すると、少し微笑ましい。
「全く。けど良かったじゃねーかクラピカ。お前Aのことめちゃくちゃ心配してたもんな?」
「そうなの?」
「仲間のことを気にかけるのは当然だろう」
何気なく告げられた言葉につい頬を緩めると、クラピカが不思議そうにこちらを見ていた。
「A……?どうしたんだ?」
「クラピカは私のこと仲間って思ってくれてるんだなぁって」
「君はそう認識していなかったのか?」
「ううん。私だけがそう思ってると思ってたから……嬉しかったの」
「そうか……」
ほっとしたように微笑むクラピカは、なんだか少しかわいく見えた。
「この部屋……出口がない……」
私達が話しているうちに部屋を見渡していたゴンくんが呟く。
確かに部屋のどこを見ても扉も道もない。
代わりに壁には一つの看板がかかっていた。
"君達5人は、ここからゴールまでの道のりを多数決で乗り越えなければならない"
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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください! (7月8日 23時) (レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裕佐 | 作成日時:2023年6月4日 15時