【33】不信と睡眠、温かさ ページ33
「――進行係は『次の目的地』と言っただけだから、もしかしたら飛行船が第三次試験会場かもしれないし、連絡があるのも『朝8時』とは限らないわけだ。寝てる間に試験が終わっちまってた なんてことにもなりかねない」
「次の試験受かりたけりゃ、ここでも気をぬかないほうがいいってことだ」
トンパは得意げにそう言うとその場を去って行く。
残された私達は顔を見合わせた。
「あの人の言うこと、真に受けすぎない方がいいよね」
「つーかそもそもこの状態で朝まで気ィ張ってたら、試験に参加はできてもまともに動けねーぞ」
レオリオさんがげんなりとした様子で零す。
「……それが奴の狙いなのかもしれないな。ハンター試験に不慣れなルーキーを疲弊させる算段なんだろう。とにかく、今は休息が最優先だ」
クラピカに同意だ。少しでも落ち着いて寝られる場所を探さないと。
「じゃあ二人とも、また明日三次試験で。おやす――」
「「ちょっと待て」」
挨拶をして場を離れようとした瞬間、呼び止められた。
「どうしたの?」
「どうしたのって……お前まさか一人で寝るつもりか!?」
「だって、私達知り合ってまだ一日だし……一緒に寝るのはお邪魔じゃない?」
レオリオさんの言葉に驚いてそう返すと、2人は虚をつかれたような顔をしていた。
「そういえばレゼルと会ったのは試験会場に着いてからだったな。だが別にそんなことを気にする必要は無いと思うぞ」
「クラピカの言う通りだぜ。それに受験生は野郎の方が多いんだ。一人で寝て襲われたりしたらどーすんだよ?」
「クラピカ……レオリオさん……」
2人の言葉に胸が暖かくなる。
「レオリオが言うと説得力があるな」
「おいクラピカ、そりゃどういう意味だ!?」
「あはは……」
「それだけじゃない。例えトンパが言っていたように不測の事態が起きても、近くにいた方が協力し合えて何かと都合が良いだろう?」
それもそうだ。もし本当にずっと一人だったらここまで来れなかったかもしれない。ルーキー同士しかもこの二人と一緒なら心強い。
「じゃあ、お言葉に甘えて……」
協会が配ってくれていた毛布にくるまり、壁に寄りかかる。
私の隣にクラピカ、更にその右隣にレオリオさんの順だ。
慣れない場所だったけど、一日の疲労と隣に感じる人の体温に私は直ぐに意識を手放した。
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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください! (7月8日 23時) (レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裕佐 | 作成日時:2023年6月4日 15時