【28】ネタバレと満腹、今度こそ ページ28
その後――
私の直後にスシを提出した丸刈り頭の男の人が、作り方を大きな声で叫んでしまうという事件が起きた。
作り方を知った途端次々とスシを運んでくる受験生に、メンチさんは味だけで審査を行うことにしたらしい。
その様子を横目で見ながら私は本当においしいスシがどうしたら作れるか必死に考えていた。
ライスの味見をした時は違和感がなかったのに、出来上がった物は何かが違うと感じた。
ということは原因は魚の方にあると考えられる。
……そういえばあの時食べたスシに使われていた魚に、川や池で採れる魚はほとんど無かった。
つまり、スシは海水魚で作るのが基本なんだろう。
だけどこの森林公園に海は無い。火を通して食べるのが基本の淡水魚を使って美味しいスシを作るには……
｢……火を使う？｣
そうだ、思い出した……！
｢握りが遅い！タネに体温がうつって口ざわりが悪いわ！！｣
｢これもダメ！これもやり直し！！｣
ひっきりなしに聞こえる怒号を聞きながら、私はようやく新しいスシを完成させた。
早速提出しに行こうとしたところで、メンチさんは審査の手を止めお茶を飲み始める。
そして一息つくとこう言った。
｢ふー、ワリ！！おなかいっぱいになっちった｣
それはつまり、つまり試験が終了したということ……
｢待ってください！私のスシを食べて貰えませんか！？｣
静まり返る会場に私の声が響いた。
｢あんた……402番ね。いいわ特別に食べてあげる｣
｢ありがとうございます……！｣
私の無理を聞いてくれたメンチさんに、作り直したスシを差し出す。
｢このスシ……なるほど、工夫したわね｣
私が思い出したのは、生魚に抵抗があった叔父様と叔母様が気に入っていた魚に火を通したスシだった。
職人さんに見せてもらったその魚とよく似た細長い魚。
私は捌いたそれを炙り自作したタレにつけ、再び炙ってから形を整えライスに乗せた。
味見をして私はおいしくできたと思ったけど、認めてもらえるだろうか……
緊張しながら見つめていると、メンチさんが口を開いた。
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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください！ (7月8日 23時) (
レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：裕佐 | 作成日時：2023年6月4日 15時
