【23】豚と弱点、試験の予習 ページ23
試験会場に向かう途中――
『そういえば、さっき言ってたグレイトスタンプってどこにいる豚なんですか?私お恥ずかしながら知らなくて……』
『有名なのはビスカ森林公園ですかね。あの森に居る豚はこの一種類だけなんです! 巨大な体と大きくて頑丈な鼻で敵を押し潰して、人間を食べることもありますよ』
『なるほど……グレイトスタンプって、美味しいんですかね?』
『それは食べたことが無いのでなんとも……』
「……っていうことがあって」
「世界で最も凶暴な豚だぁ!?」
「料理を作るにはその豚を捕まえるしか無いという訳か。なかなか性格の悪い試験だな」
「……3人ともあそこ!」
突然立ち止まったゴンくんの視線の先にいたのはグレイトスタンプの群れだった。
群れは、私達に気付くと鼻息を荒くして一斉にこちらに向かってくる。その振動も足音も、ものすごく大きい。
攻撃は避けられたけど、その力は凄まじくてドォンッという音と共に身体が浮き上がる。
空中で顔を上げると、落下するゴンくんの先に一頭のグレイトスタンプが居るのが目に入った。
「ゴンくん、そのまま頭を狙って!こいつらはそこが弱点なの!」
「わかった!」
元気に返事をしたゴンくんは、直ぐに体勢を立て直すと釣竿を思っきり額目掛けて振り下ろす。
ドコッという鈍い音と共に、弱点を強打された豚は為す術もなく地面に倒れていった。
「ナイスゴン!!」
「なるほどな。巨大で硬い鼻はもろい額をガードするための進化というわけだ」
「弱点さえ分かっちまえばこっちのもんだぜ」
ゴンくんの一撃を皮切りに、グレイトスタンプ達は次々と倒れていった。
「よし、後は丸焼きにして試験官の所まで持っていくだけだな」
豚を選んで会場の付近まで戻ってきた私達。今は準備を終えて焼き始める直前というところだ。
「オレ上手く焼けるかな〜」
「大丈夫だよ。私が一緒に見てるから」
「おいちょっと待て、なんでAは1人で二頭も連れてきてんだよ!?」
ゴンくんが話していると、レオリオさんが私の方を見て言った。
「え? だって……せっかく捕まえたんだから自分でも食べてみたくない?」
「その為にあのバカデカい豚を二頭持ってきたつーのか!?」
「うん。……やっぱりちょっと大きすぎるかな。でも四人で食べるなら丁度いいよね」
「あぁ、まぁ……そうだな」
レオリオさんは何か腑に落ちない様子だったけど、それ以上何も言わなかった。
四等分じゃ足りないのかな……?
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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください! (7月8日 23時) (レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裕佐 | 作成日時:2023年6月4日 15時