【3】試験とご馳走、エレベーター ページ3
猪は読み通り額が弱点だったようで、私は無事に猪をプレゼントすることができた。
｢助けて貰っただけでなく狩りもしてくださるなんて！本当に助かりましたよ！｣
｢いえ、お役に立てて良かったです｣
｢……ところで、Aさんはハンター試験の受験生でお間違い無いですか？｣
｢はい、確かに私はハンター試験を受けにこの街に来ましたが……｣
ハンター試験の話になった途端、声のトーンが変わったことを不思議に思いつつも答えた私にルトさんが続ける。
｢合格です｣
｢え？｣
｢僕が試験会場までのナビゲーターなんです｣
ルトさんの言葉に私は一瞬硬直した。初耳だ。
｢Aさんはハンター試験を受けるという自分の事情を顧みず、見ず知らずの僕を助けに来てくれました。そして、先程の猪狩りでの洞察力や身のこなしもとても良かったです。僕が責任を持って試験会場までお連れしますよ。｣
試験を諦めるつもりでした人助けが、まさか試験の試験だったなんて。
ハンター試験が一筋縄ではいかないことを再認識しながら、私は改めてルトさんに挨拶をした。
〜
ザバン市に到着した私が連れられたのは、街中の定食屋さんの目の前だった。
｢ここがハンター試験の会場です｣
｢なるほど。確かにここなら誰もハンター試験の会場って分かりませんもんね｣
｢その通り。……思ったより驚かないんですね、どんな反応をするか少し楽しみだったんですけど｣
小声で話しながら私達は店に入った。
｢お客さん、ご注文は？｣
出迎えてくれたおじさんルトさんは慣れた様子で応える。
｢ステーキ定食を彼女に一つ｣
｢焼き方は？｣
｢弱火でじっくり｣
それを聞いたおじさんが合図をすると、近くにいたお姉さんが私達を奥の部屋へと案内してくれた。
中に入ると、本当に網の上に美味しそうなステーキが用意されていたから少し驚いた。ただ合言葉として使われているって訳じゃなくて、ここまで来たご褒美みたいな意味もあるのかもしれない。
ルトさんには少し笑われたけど、お肉の焼ける良い匂いについお腹が鳴ってしまったのも仕方のないことだと思う。
｢ここからが本試験ですよ。頑張ってくださいね。｣
そう言ったルトさんが扉を閉めると同時に、僅かな機械音と浮遊感を感じた。
どうやら部屋自体がエレベーターのような構造になっていたらしい。
……ステーキ、下に着くまでに食べ切れるといいんだけど。
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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください！ (7月8日 23時) (
レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：裕佐 | 作成日時：2023年6月4日 15時
