【16】奇術師と試験、不合格 ページ16
明確な殺意を持って向かってくるそれを、私は右腕に付けたバックラーで弾き返す。
周囲からは次々と短い悲鳴が上がっていた。
｢ってぇー！！｣
クラピカは木刀のような武器で攻撃を防いだみたいだけど、レオリオさんの左腕にはトランプが刺さっていて見ているだけで痛々しい。
トランプということは、この攻撃はヒソカが……
攻撃が飛んできた方へ向き直り、バックラーから短剣を取り出して構えると、霧の向こうにヒソカの影が見えた。
｢てめェ！何をしやがる！！｣
｢くくく♢試験官ごっこ♡｣
トランプを弄びながら現れたヒソカは、愉快そうにそう言った。
｢二次試験くらいまではおとなしくしてようかとも思ったけど、一次試験があまりにタルいんでさ♤ボクが君達を判定してやるよ♧｣
｢判定？バカめ！この霧だぜ、一度試験官とはぐれたお前もオレ達もとり残された不合格者なんだよ！！｣
一人の男の人が叫んだかと思うと、次の瞬間にはその頭にトランプが突き刺さり倒れていく。
｢失礼だな♤キミとボクをいっしょにするなよ♢｣
｢冥土の土産におぼえときな♧奇術師に不可能はないの♡｣
……ヒソカは、ここで私達全員を殺すつもりだ。
生き残っている人達が一斉にヒソカを取り囲む。だけど、ヒソカは一切動じる様子がない。
それどころか一枚のトランプを見つめると言った、
｢そうだなァ〜……君達、まとめてこれ一枚で十分かな♧｣
｢ほざけェエーー！！！｣
煽られた受験生が一斉に飛び掛る。
ヒソカはそれをものともせずに、目にも止まらない速さで次々と向かってくる人を殺していった。
私もクラピカもレオリオさんも、その景色を声も出せずに見ていることしかできない。
ヒソカの動きが止まる頃には、辺りには無数の死体が転がっていた。立っているのは私達だけ……
｢君ら全員不合格だね♢｣
辺りを見渡して呟いたヒソカがこちらを振り向いた。
｢残りは君達三人だけ♡｣
ジリジリと距離を詰めるヒソカ。
このままじゃ三人とも……。
｢っ……クラピカ、レオリオさん……私が合図をするから同時にバラバラに逃げよう……今の私達じゃヒソカには敵わない……悔しいけど、ここは退くしかないよ……！｣
二人が僅かに頷いたのが気配で伝わる。
｢……今！！｣
間合いを図って叫んだ合図と共に、私達は同時にヒソカに背を向け走り始めた。
……失敗はできない。
私がヒソカを止めるしかないんだ。
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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください！ (7月8日 23時) (
レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：裕佐 | 作成日時：2023年6月4日 15時
