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【14】湿原とトランプ、詐欺師の塒 ページ14

「レオリオ、Aあと少しだ」

クラピカのおかげでなんとかペースを落とすことなく走ることができた私は、出口の目前まで到達していた。

そして、眩しく光る出口を抜けた先にあったのは――風の音が大きく響く広大な湿原だった。

ここで一次試験が終了かはともかく、一つのポイントであることは間違いないはず。

あまりにも長い間走っていた私達は必死に息を整える。

しばらくして落ち着いたらしいレオリオさんが、ふと私達に顔を向けると勢いよく指を差した。

「つーかさっきまで必死で気付かなかったけど、お前ら手繋いで走ってたのかよ!?」

言われて気付く。そうだ、繋いだままだった。
慌てて手を離してどう説明しようか迷っていると、隣のクラピカが先に答える。

「それがなんだ?私とAが手を繋いでいてもレオリオには関係ないと思うが。」

足のことを黙ってくれようとしてると思うんだけど、その言い方だとレオリオさんが怒りそう。

「いーや、関係ある!オレが必死に走ってる間に自分だけ女の子とイチャつきやがって」

「別にイチャついていた訳ではない!」

「そうだよレオリオさん!これは私の足のせいで……」

事情を説明すると流石に医者志望なだけあって、レオリオさんは私の足を心配してくれた。

「そういうことならオレとも手繋ぐか……?」

右手を見ながら提案もしてくれて、気持ちは嬉しかったけど、両手が塞がると色々と困るのでそれは断った。


「ここは……」

話していると、私達より後に到着した誰か呟いた。

「ヌメーレ湿原、通称"詐欺師の塒"。二次試験会場へはここを通って行かねばなりません。」

標的をだまして食い物にする生物達の生態系が、そう呼ばれる所以らしい。

「だまされることのないよう注意深く、しっかりと私のあとをついて来て下さい。」

サトツさんが言い終わるのと同時に、別の方向から突然大きな声が響いた。

その場の全員が視線を向けると、ボロボロの姿の男が現れる。

「そいつはニセ者だ!試験官じゃない。オレが本当の試験官だ!」

湿原の生き物を手に話を続ける男に、困惑した空気が流れ始めた。

「そいつはハンター試験に集まった受験生を一網打尽にする気だぞ!」

……ハンター試験の試験官が簡単に湿原の生き物にやられるものだろうか。

私の中で不審感が生まれかけたのも束の間、試験官を名乗る男の顔に何かが突き刺さり、その勢いで地面へと倒れていく。

刺さっているのは……トランプ?

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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください! (7月8日 23時) (レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:裕佐 | 作成日時:2023年6月4日 15時

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