【13】お金と命、私には ページ13
「……悪いな」
「オレにはお前の志望動機に応えられるような立派な理由はねーよ。オレの目的はやっぱり金さ」
「そんなはずない!」
「ウソをつくな!」
苦い顔で話すレオリオさんに思わず反論すると声が被ってしまった。
「まさか本当に金でこの世の全てが買えるとでも思っているのか!?」
「買えるさ!物はもちろん夢も心もな。人の命だって金次第だ!!買えないモンなんか何もねぇ!」
「許さんぞレオリオ!撤回しろ!」
人の命……その言葉に胸が痛む。今度は私より先にクラピカが叫んだ。
「なぜだ!?事実だぜ。金がありゃオレの友達は死ななかった!!」
「もしかして……」
声を荒らげて言うレオリオさんに事情を察する。
「……病気か?」
「……決して治らない病気じゃなかった!問題は法外な手術代さ!」
レオリオさんは、友達と同じ病気の子供を無償で治せるような医者になるのが夢だったと言う。
だけど、そんなお医者様になるには更にお金が必要だ。
「分かったか!?金、金、金だ!オレは金が欲しいんだよ!」
やっぱり、レオリオさんはかっこいい。立派過ぎる志望動機だ。
クラピカが言っていたように、世の中には本当にお金儲けだけを考えてハンターになろうとしている人も居る。それこそ今一緒に走っている人の中にだって居るだろう。
……それでも、例えそれがお金目当てでも、みんなハンターになってしたいことがちゃんとあるんだ。
本当に二人の志望動機に答えられるほど立派な理由が無いのは、私だ。
「……!」
陰鬱な気持ちに対応するように、足に鋭い痛みが走って思わず顔を歪める。
「A……?大丈夫か!?」
私の異変に気付いたクラピカが心配そうに声をかけてくれた。
「っ、大丈夫。ちょっと足が痛んだだけ……」
クラピカはしばらく何かを考えると、唐突に私に手を差し出してきた。
「……クラピカ?」
意図が分からず、クラピカの顔を見つめる。
「……手を繋ぐという行為は、人間の脳に安心感をもたらすらしい。君の足の痛みが心因的なものなら、手を繋ぐことで少しは軽減できるのでは無いかと思ったのだが……差し出がましい真似をしてしまってすまない」
遠慮がちに伝えられた言葉に胸に暖かいものが広がっていく。
「クラピカ……手、繋いでもいいかな……?」
頷いたクラピカの手は少し大きくて、その感覚は確かに私の気持ちを和らげていった。
【14】湿原とトランプ、詐欺師の塒→←【12】誇りと復讐、君の天秤
119人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください! (7月8日 23時) (レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:裕佐 | 作成日時:2023年6月4日 15時