【12】誇りと復讐、君の天秤 ページ12
「レオリオ1つ聞いていいか?」
「ハンターになりたいのは、本当に金目当てか?」
レオリオさんが反応した。
「違うな。ほんの数日のつきあいだがその位はわかる。確かにお前は態度は軽薄で頭も悪い」
きっぱり言うクラピカに苦笑する。
……やっぱりクラピカはネルラに似てる。
「だが、決して底が浅いとは思わない。金もうけだけが生きがいの人間は何人も見てきたが、お前はそいつらとは違うよ。Aも同意見だ」
クラピカさんの声に頷いて、私も口を開く。
「そんな格好になってまで一生懸命に走ってるレオリオさんは凄くかっこいいと思う。だからこそハンターになりたいのは何か他に理由があるんじゃないかって……」
「ケッ理屈っぽい奴らだぜ」
そう言いながらもレオリオさんは否定しない。だけど理由を言いたくもないんだろう。
「緋の眼」
クラピカの静かな声が響いた。
「クルタ族が狙われた理由だ」
緋の眼……クルタ族固有の特質。
感情が激しく昂ると燃えるような深い緋色に染まる瞳は、その状態で死ぬことで褪せることなく刻まれたままになると聞いていた。
「この緋の輝きは世界七大美色の1つに数えられているほど」
「それで幻影旅団に襲われたわけか。」
「うち捨てられた同胞の亡骸からは1つ残らず目が奪い去られていた。今でも彼らの暗い瞳が語りかけてくる。"無念だ"と」
クラピカの表情が読めなくなる、
「幻影旅団を必ず捕らえてみせる!!仲間達の目も全てとり戻す!!」
力強い言葉と共に上げられた瞳には、強い意志と憤りが宿っていた。
「おそらく全部闇市場で売りさばかれているはずだぜ。普通の人間じゃ顧客の側にさえ近付けない」
レオリオさんの言う通りだろう。だけど
「ハンターなら可能だ。金持ちの契約ハンターになれば様々な情報を聞き出せる」
「契約……?お抱えハンターって奴はお前か一番嫌う誇りのないハンターだぜ。小金目当ての飼い犬ハンターじゃねーか」
それを聞いて気付く。
クラピカは初めから賞金首ハンターを目指していた訳では無いんだろう。今のレオリオさんの言葉から推測するに、クラピカが本当になりたかったハンターは――
「……私の誇りなど、仲間の苦しみに比べれば意味のないものだ」
「クラピカ……」
クラピカは凄い。復讐と遠い場所にある眼の回収。自分の誇りを捨ててまでそれを達成しようという意志を持てる人が、一体どれだけいるだろう。
現に私は…
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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください! (7月8日 23時) (レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裕佐 | 作成日時:2023年6月4日 15時