【11】脱衣と階段、彼の本質 ページ11
レオリオさんと合流して、開始地点から大体80km以上は走ったであろうタイミングで、私達の目の前に立ちはだかったのは長い長い階段だった。
だというのに前の走る速度は今までよりも上がっていて、周りにもチラホラと苦しそうにしている人が増え始める。
階段に突入してからスーツを腰に巻き上裸で走っていたレオリオさんも例外ではなく、先程よりも息が荒くなっているのが後ろからでも感じられた。
「レオリオさん……」
「レオリオ、大丈夫か!?」
「おう!見てのとーりだぜ!なりふりかまわなきゃまだまだいけることが分かったからな!!」
クラピカさんが心配そうに声を掛けると、思ったよりも元気な言葉が返ってくる。
「お前ら!!他人のふりするなら今のうちだぜ!」
レオリオさんはそう言うと、更に速度を上げて階段を登っていった。
「かっこいい……」
「……少しは奴を見習うか」
僅かに口角を上げて呟いたクラピカさんが、民族衣装であろうマントをバッと脱ぐ。レオリオさんの姿に何か思うところがあったみたいだ。
私も二人のように何か脱ごうと、いつも着ているケープコートに手を掛けた。
……のだけれど、大盾を背負ったままでの衣類の着脱は少し厳しいものがある。
「脱げない……」
「無理して脱ぐ必要はないと思うよ、A」
思わず声を漏らした私に、クラピカさんは苦笑しながらそう言った。
「そういえば、クラピカさんとレオリオさんは元々の知り合い……ではないんだよね?」
「クラピカでいい。そうだ、彼とゴンとはドーレ港へ向かう船で知り合った。」
「レオリオさんがどうしてハンターを目指してるのかクラピカ…は知ってるの?」
突然呼び捨てに変えるのは少し難しい。
さっき失敗した質問だったけど、試験が始まってからのレオリオさんの様子に興味を引かれてしまって、尋ねてみる。
「……レオリオは、金目当てだと言っていた。金さえあれば何でも手に入る、と」
「意外。出会って数時間だけど、レオリオさんってそういうタイプには見えないのに。」
育ってきた環境のせいもあって、お金のことしか考えていない人は数え切れない程見てきた。
だからこそ、レオリオさんからはそういう人達特有の嫌な感じはしなかったし、クラピカの言ってることが本当なら、何か事情があるように感じる。
「やはりAもそう思うか……」
私の言葉で何かを確信したらしいクラピカが、レオリオさんの方へ向かっていく。もちろん私もそれに続いた。
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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください! (7月8日 23時) (レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裕佐 | 作成日時:2023年6月4日 15時