知らないは知っている

笑えない ページ19

その後、私はママと一緒に家に帰った。

　ガチャ

奈「お帰りー。お姉ちゃんどうだった?」

　奈子が、満面の笑みで私に、聞いてくる。

　すると、パパがさっと顔を青くして奈子を連れてリビングに行ってしまった。

母「彩、貴方はもう寝なさい。」

彩「うん。」

　今は、誰とも話したくなかったから、丁度良かった。

　階段を上って上に行くと、お兄ちゃんが部屋から出てきた。

兄「…。」

　お兄ちゃんは、何も喋らない。

彩「ねぇ、お兄ちゃん。努力は、報われるってい
　う言葉を最初に言った人は、私と違って天才だ
　ったのかな?」

　すると、お兄ちゃんの顔が珍しく歪んだ。

祐「違う。努力が報われるまで努力したんだ。」

彩「じゃあ、私は努力してなかったわけ?!」

　産まれて初めて彩は、大声で怒鳴った。

彩「私はっ!毎日毎日クラスの女の子が遊んでい
　るときも、机にかじりついて勉強してたっ!」

　何事かと、家族が階段を上ってやってくる。

彩「これでも、努力が足りないって言うなら、私
　はっ、後どのくらい努力すればいいのよ…。」

　最後の方は、もう消えそうなか細い声になっていた。

　皆の顔は、驚きと困惑に包まれていた。

　びっくりするよね。
　いつもは、こんなに大声出さないもんね。
　自分の気持ちも、こんなに晒すこともないし。

　彩の頭は、既に冷めていた。

彩「ごめんね。こんなに大声出して。」

祐「あ、いや、彩…。」

　私は、お兄ちゃんの声を無視して部屋に入った。

　入る直前に、申し訳無さそうな笑みを浮かべたが、笑みになっていたとは、お世辞にも言えないだろう。

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