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ぐい、と押されて外に出されてしまった俺は取り敢えず自分の部屋へと向かう為に階段を降りる
あんなに自分から攻めた発言は今までで初めてで、言った手前さっきは照れなかったけど時間が経つにつれ自分も照れ始めてしまう
なにせ、あんなに真っ赤に染め上がった顔を見るのも初めてで、未だ名字で読んでいるけど不意打ちで名前で呼んだら絶対に照れるんだろうなあなんて思う
明日は約束の祭りの日
あまりこういう人混みが多い行事は好まなくて、昔バレー部で行ったっきりだな、と呟いた
スマホで探しているのは祭りの場所の地図
花火も上がるそうだし、人混みが少なくて綺麗に見える場所があったら花火は見えるし人は俺らだけだし、絶対いいだろうと思いながら探す
こうしてみるとこうやって桜木と祭りに行くことなんて初めてだし、今年の夏は初めてだらけだ
「 ?金田一じゃん 」
プルルルルと機械音を立てて電話を知らせるスマホに表示された名前は
こんな時間になんなんだろうかと思って電話に出る
《 もしもし国見?今いいか? 》
「 いいけど、何? 」
《 明日祭りあんじゃん?あれに元バレー部で一緒に行かないか?だってよ 》
「 LINE動いてなくね? 」
《 いや何故か先輩たち電話で伝えててさ、なんでも及川さんが帰国してるらしい 》
「 ……それマジ? 」
《 おう、え、もしかして明日バイトとか? 》
「 …いや、別の友達と一緒に行く 」
なんだか桜木の名前を出すのは引けて咄嗟に別の友達と言う
まあ、嘘じゃないし、いいだろ
《 マジで?珍しいなあ、桜木か? 》
「 まあ 」
《 マジで言ってんの?! 》
「 こちとら焦ってるんだよ… 」
《 何に焦ってんだ?別に来週卒業とか言うわけじゃなくね? 》
ぽん、と金田一に言葉を投げられて、たしかに、と納得した
なんで、焦ってるんだろう。と一瞬考えたが思い出したのは桜木の周囲の友人
別に悪い奴がいるわけじゃないけど、あの底抜けの明るさや人柄の良さから男女ともに好かれていて恋慕の情を抱く男も少なくないことを思い出した。
「 …取られたくないから、かな 」
《 まあ、そうだよな。じゃあ無理って伝えとく! 》
「 サンキュ 」
付き合うのを早めるわけじゃないが、俺のだと証明したいなんて欲が湧いてくる
そろそろ気付けアホ
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さくみ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!幸せすぎましたっ、ありがとうございます! (2020年5月22日 6時) (レス) id: 8ec2e6d345 (このIDを非表示/違反報告)
仔犬(プロフ) - そまさん» そまさんコメントありがとうございます(^^)/喜んでいただけて幸いです!!他作品も連載中ですのでよければ足を運んでくださいね(*^^*) (2020年5月14日 21時) (レス) id: 8b2aa36d50 (このIDを非表示/違反報告)
そま - ちょっとまって……良すぎた……最高です。 (2020年5月11日 17時) (レス) id: d89abf58ed (このIDを非表示/違反報告)
浦島坂田船((箱推し - わざわざ返信ありがとうごさいます!いやぁーこの作品は、癒しだ〜 (*´∀`*) (2020年5月7日 1時) (レス) id: 923aa8cddb (このIDを非表示/違反報告)
仔犬(プロフ) - 浦島坂田船((箱推しさん» こんばんは!夜遅くにコメントありがとうございます!頑張って可愛くデレさせますね(^o^)/更新頑張ります!温かいお言葉励みになりました。ありがとうございます(^^)/ (2020年5月6日 2時) (レス) id: 8b2aa36d50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仔犬 | 作成日時:2020年4月30日 9時