No.020 ページ20
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「 飛雄〜、できた〜 」
「 !!! 」
ほくほくと湯気を立たせている温玉のせポークカレーは彼の大好物である。最近はカレーを食べるCMまで出演していて、友達が遠い存在になったなあとしみじち思う
「 今日も美味い 」
「 ほんと?良かったぁ 」
「 姉ちゃんの次に美味い 」
「 美羽ちゃん?元気してるの? 」
「 おう、元気に美容師してる 」
「 ヘアメイクアーティストじゃなくて? 」
「 あ、それだ 」
リスのように頬を膨らませてカレーを口にかき入れる飛雄を見るとなんだか保護者のような気分になる。実際同い年だけど絶対私の方が年上だっていう自信がある。
「 そういえば飛雄さっきなんか様子おかしかったよね? 」
「 ?なんもねえけど 」
「 そ?ならいいよ 」
そうなのだ、お店に着くや否や乱雑に靴を脱ぎ捨て階段を駆け上がり私の部屋の隣のゲストルームにかけこんでいた。普段は靴を丁寧に揃えて手を洗ってからあがるはずなのに珍しいなと思っていたところなのだ。何もないのならそれでいい。
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食べ終わってひと段落ついたので飛雄はいつもの様にバレー日誌を黙々と書いており、両面全てが真っ黒になりそうなほど書き込んであった。
天才だの言われてるけど天才じゃなくて努力と継続ができる頑張り屋さんなんだよこの子は
「 今日どうするの?泊まるの? 」
「 明日も朝早いから帰る 」
「 じゃあまた今度泊まって行ってね 」
「 おう、」
日誌も書き終わり泊まるか否かを聞けば否定されたので帰り支度をし始める飛雄
近頃夜に誰かといることが少なくて一緒に過ごす時間はとても新鮮だった。鍛え上げられた背中を見てふと思う。こんなにかっこいいのなら彼女とか居るのではないかと。けれどそうであれば私のところ遊びに来ないし、第一バレー最優先だから絶対にないなと頭の中で自己完結させた
「 夜遅いし店の前でいい 」
「 絶対迷子になるよ 」
「 ならねえよ、ナビ設定してくれたんだろ 」
「 言われるとおりに進んでねホントに 」
「 そこまで馬鹿じゃない 」
「 どの口が言ってんの 」
ぺち、とデコピンをすると意外に痛かったのか目をギュッと瞑る飛雄。口は突き出ていてさながら小さい子のようだ。
「 飛雄って黙ってたらイケメンなのにね 」
「 ?ありがとう 」
「 …………うん 」
絶対意味わかってない
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仔犬(プロフ) - ゆうさん» 温かいお言葉有難う御座います!また今描いている作品が落ち着いたら続編出そうかななんて思ってます(^^)v気長に待っていただければ幸いです (2020年5月9日 22時) (レス) id: 8b2aa36d50 (このIDを非表示/違反報告)
仔犬(プロフ) - 彗。さん» 有り難いお言葉有難う御座います!キュンキュンしてもらえてなら幸いです!(`・ω・´) (2020年5月9日 22時) (レス) id: 8b2aa36d50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - すごく素敵な作品で一気に読んでしまいました!その後とか続編とかあったらいいなって思います。大好きです! (2020年5月9日 21時) (レス) id: b97f6377b3 (このIDを非表示/違反報告)
彗。(プロフ) - とても素敵な作品で読んでいてキュンキュンしました笑 完結おめでとうございます。 (2020年5月6日 20時) (レス) id: 6c56bd37ca (このIDを非表示/違反報告)
名無し39526号(プロフ) - 黒瀬さん» 優しいお言葉ありがとうございます!( ; ; )更新頑張ります! (2020年4月23日 23時) (レス) id: 8b2aa36d50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仔犬 | 作成日時:2020年4月16日 21時