拾伍話 ページ44
善逸と散々泣いた後、俺たちは産屋敷家へと来ていた。
いつもうるさい善逸も、すぐに駆け出してしまう伊之助も、この時ばかりは妙に静かだった。
「炭治郎さん、」
「、しのぶさん、」
最初に声を掛けてくれたのは、しのぶさんだった。
姉さんとも仲が良かったし、何より、しのぶさんの継子でもあったからなのだろう。
かなり悲しみの匂いが漂ってきた。
「……Aさんは、とても良い
柱の人達、そして動ける隊士たちは、地上に現れた鬼舞辻無惨と、姉さんの一騎打ちを見たそうだ。
夜明けも近く、逃げようとする無惨をたった一人でその場に縫い止め、魂を燃やして戦う姉さんの『絶ッ対に手を出すな!!!手を出すなら私が死ぬまで待て!!!』という覇気ある言葉に、誰一人として手出しは出来なかったのだと。
「…行くぞ、お館様がお待ちだ」
冨岡さんがそっと声を掛けてくれて、俺たちはお館様の待つ部屋へと案内された。
広間には、かなりの数の隊士が集められていた。
上段の間には、まだ誰も来ていない。
「この辺でいいだろう」
「そうですね」
適当な場所へと正座すると、それを見計らったかのように、お館様が入ってこられた。
以前とは違い、
以前漂っていた病気にも似た匂いがかなり薄い、むしろ匂ってこない程だ。
「…え」
誰かの声が聞こえた気がした。
「よく集まってくれたね、あぁ、いつもの挨拶は大丈夫だよ。
それよりも彼女の事を、皆に伝えたくてね」
そう言いながら上段の間に腰掛けた。
自分のことは後回しなのか、そのまま言葉を続ける。
「鬼舞辻無惨が倒されたのは、皆も知っているね?
そこに居合わせなかったものも居るだろうから、説明を、しのぶ、頼めるかい?」
「はい、夜明けまて残り一時間と言った所でしょうか__、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「今のは、」
何羽もの鴉が鳴く声。
伝令が伝えられる羽音。
「緊急招集ーーーーッ!緊急招集ーーーーーーーーーッ!!!鬼舞辻無惨!!竈門A!!!山奥ニテ交戦中!!!!至急迎エ!!!」
「…!?」
息が止まるかと思った。
何故、彼女が、何故。
だけど、考えている時間は全くない。
手に取っていた薬品を置いて刀を取って屋敷を飛び出した。
516人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うさぎもち - この小説めっちゃ面白いです。更新、楽しみにしてます!!! (8月6日 15時) (レス) id: 6ed501a3ba (このIDを非表示/違反報告)
月 - 面白かったです!これからも更新頑張ってください!(≧∇≦) (2019年11月29日 18時) (レス) id: f2a5c7d6f6 (このIDを非表示/違反報告)
あとら - めっちゃ好きです。一気に読んでしまいました!更新楽しみに待ってます!頑張ってください! (2019年10月24日 22時) (レス) id: f15d6ec153 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2019年10月24日 19時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鏡花@狐さん | 作者ホームページ:
作成日時:2019年10月9日 12時