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拾弍話 ページ35

「君の産まれた家に、雪の呼吸の書物がまだ残っているよ。もし向かうなら鎹鴉を着けよう」
『…よろしいのですか?』
「勿論、Aも立派な私の剣士(こども)だよ。剣士(こども)が困っているなら、(おや)が助けるのが道理だろう?」
『…ありがとうございます』

そうして鎹鴉を一羽着けてもらい、私は鎹鴉の案内に従って産まれた家に向かった。

『…あとどのぐらい?』

夕暮れ近くになった頃、道中にあった団子屋で休憩しながら、鎹鴉に話しかける。

「アト、一刻モアレバ着クゾ!」
『夜には着きそうなのね、今は誰も住んでいないの?』
「住ンデイナイ!」

まぁ、そうだよね…普通に考えれば。
鬼に見付かった形跡があるのに、そこにわざわざ住もうとは思わないよね。

『…けど、家が残ってるのは何故?』
「御館様ノゴ命令!雪ノ呼吸ノ使イ手ガ見ツカルマデ、保管、管理!」

…雪の呼吸。
書物が残っているとして、私が扱えるかどうかは相性次第だとは思う。
正直、微妙なところだ。

『…だとしても、やるしかない』
「…ソロソロ行クカ?」
『うん、行こう。おばさんお会計お願いします』

団子屋を発ち、鎹鴉の言う通り、一刻、1時間もすれば立派な屋敷が見えてきた。

『…デカイな』

パッと見でもかなりの大きさだ。
鎹鴉によると、定期的に"隠"の人たちが掃除しに来るそう。
屋敷の中に入り込み、早速ウロウロし始める。
ココが、私の生まれた家、私の、実の両親が居た家。
中も外から見た時より、比べられない程かなり広い。

「コッチダ」

鎹鴉がウロウロする私を見兼ねてか、案内をし始める。
案内された先は、使っていた当時のまま残された書斎だった。
鎹鴉が器用に両足で巻物を掴んで持ってくる。

『……これが、』
「雪ノ呼吸ノ巻物!早ク開ケ!」
『ちょ、まって、急かすのはやめてぇ?!』

ギチギチに巻かれた巻物を丁寧に開く。
書かれていたのは、
水の呼吸とは正反対でかなり難しく、雪の呼吸を使えるものはごく僅かである事。
そして雪の呼吸の大きな特徴は、型が"三つ"しか存在しないと言うこと。

鎹鴉の話によると、雪の呼吸を扱う剣士の多くは、白雪家の一族の者である事が確認されているらしい。
そして、巻物にはこうも記されていた。

『…日の呼吸から一番初めに派生した呼吸、それ故に一番日の呼吸に近い呼吸…』

姉弟揃ってなんて渦中に巻き込まれてるんだか。

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うさぎもち - この小説めっちゃ面白いです。更新、楽しみにしてます!!! (8月6日 15時) (レス) id: 6ed501a3ba (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです!これからも更新頑張ってください!(≧∇≦) (2019年11月29日 18時) (レス) id: f2a5c7d6f6 (このIDを非表示/違反報告)
あとら - めっちゃ好きです。一気に読んでしまいました!更新楽しみに待ってます!頑張ってください! (2019年10月24日 22時) (レス) id: f15d6ec153 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2019年10月24日 19時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鏡花@狐さん | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年10月9日 12時

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