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拾弍話 産まれた家 ページ34

『…』

見慣れた蝶屋敷の天井。
寝巻きに着替えさせられていて、何だが少し身体は重かった。
けど、こうしている暇も今は惜しい。
ベッドから跳ね上がり、綺麗に直され畳まれていた隊服に着替え、自身の羽織に袖を通す。
ベッドを綺麗に直してから、靴を持って窓から外に出る。

外に出て、蝶屋敷の屋根に飛び乗り、そこから敷地外へと飛び降りた。

『…ごめんなさい、しのぶさん』

少しだけ振り返って呟いてから、ある匂いを辿って走る。
少し前までは、鬼になってもこんなこと出来なかったのに。

民家の屋根を飛んで走り、森に入る。
何人もの知った匂いを辿って、私はある場所に辿り着いた。

「…君は…、Aだね?」
『…突然の勝手な訪問、お許しください、御館様』

和室で横になる御館様の隣に正座した。
どうやら御館様お一人のようだ。

「今日は、どうしたのかな?」
『…一つお教え願いたいことがございまして』
「なんだい?」
『…私の育ての親は炭治郎の母と父なのですが、私の生みの親の父は、鬼殺隊で柱をやっていたようなのです』
「…柱…」
『父の名は(マサル)、母の名はお京と言うようです、…苗字までは分かりません』
「…あぁ、知っているよ」
『…!本当ですか?!』
「君の本当の父親の名前は白雪 (マサル)、鬼殺隊で"雪柱"を務めていたんだ」
『……ゆき、柱、』
「母親も、元は鬼殺隊隊士だよ。あぁ、二人の子供が、Aなんだね」

そう言って、御館様が懐かしむように顔を優しくさせた。

「…二人とも、君が産まれたと報告があった後、消息が分からなくなってしまってね、当時の柱を向かわせた所、鬼に襲われた痕跡があったけれど、それ以上の事が分からなかった」
『…それならば、ご報告させていただきます』

一息ついて、口を開いた。

『…私の実の肉親は、鬼舞辻無惨の襲来により、死亡しました』
「……やっぱり、そうなんだね」
『知っておられたのですか』
(マサル)は本当に強かった。当時の柱達の中でも一番と言っても過言じゃない程に。だから、彼に何か大きな事件があった事は確実だったからね」

そうだ、と思い出したように御館様が息を整える。

「白雪家には代々受け継ぐ呼吸があるんだ。雪を操る君なら、もしかすると会得出来るかもしれない」
『…雪の呼吸、ですか』

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うさぎもち - この小説めっちゃ面白いです。更新、楽しみにしてます!!! (8月6日 15時) (レス) id: 6ed501a3ba (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです!これからも更新頑張ってください!(≧∇≦) (2019年11月29日 18時) (レス) id: f2a5c7d6f6 (このIDを非表示/違反報告)
あとら - めっちゃ好きです。一気に読んでしまいました!更新楽しみに待ってます!頑張ってください! (2019年10月24日 22時) (レス) id: f15d6ec153 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2019年10月24日 19時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鏡花@狐さん | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年10月9日 12時

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