拾話 決意 ページ29
ドンっと地が割れる音が響く。
その音に目を覚ましてすぐ、左脚に激痛が走る。
『ッアア!!』
押し潰される感覚、痛い以外の言葉が見つからない。
いや、実際は土手っ腹に穴あけられた時の感覚の方がもっと痛かった。
さっきの音はきっと猗窩座が煉獄さんと炭治郎の目の前に姿を現した合図だ。
喉から今にでも飛び出そうな声を我慢し、状況を理解しようと辺りを見回す。
何人か地面に転がり出ているし、善逸君が禰豆子を庇って頭から血を出しているのが見える。
伊之助君は先頭車両の方に私と同じようには足を挟まれた車掌を助けている。
そして、猗窩座と炭治郎を護る煉獄さん。
ダメだダメだ!!早く行かないと手遅れになる!
地面に転がった自身の刀を手に取る。
服を口にくわえ、挟まっている太ももに刃を当て、思い切ってそのまま切り落とした。
『ーーッ!!!』
激しい痛みに声にならない叫び声を上げながら、刀を支えにしながら何とか立ち上がる。
『治れ治れ治れ…!ここで行かなきゃ意味が無いだろ、ここで行かなきゃ、私は、本当に誰も救えない……!』
歯を食いしばり、鬼の力を意識的に行使する。
地面に落ちた笠を拾って手早く被り直し、再生した左足を地面に付けた。
刀を地面に突き刺したまま、生身一つで駆け出す。
既に重症を負った煉獄さんが玖ノ型を繰り出すために刀を右肩に担いでおり、その反対側には猗窩座が術式を展開していた。
『_させない』
静かに呟いて、目をハッキリと開いて速度を上げる。
踏み込んだ地面が窪んだが、もう一度強く踏み込む。
二人の技の間に、体を滑り込ませ、刀を振り下ろそうとする煉獄さんを斜め後方へと突き飛ばした。
瞬間__、
土煙が上がって視界が悪くなる。
だが、確実に猗窩座の拳が私の溝打ちを貫通した。
飛び出そうな声を飲み込んで、猗窩座の腕をしっかりと掴んだ。
次第に土煙が晴れ、目の前の猗窩座は非常に驚いた表情を浮かべる。
不意に、笑みがこぼれた。
516人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うさぎもち - この小説めっちゃ面白いです。更新、楽しみにしてます!!! (8月6日 15時) (レス) id: 6ed501a3ba (このIDを非表示/違反報告)
月 - 面白かったです!これからも更新頑張ってください!(≧∇≦) (2019年11月29日 18時) (レス) id: f2a5c7d6f6 (このIDを非表示/違反報告)
あとら - めっちゃ好きです。一気に読んでしまいました!更新楽しみに待ってます!頑張ってください! (2019年10月24日 22時) (レス) id: f15d6ec153 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2019年10月24日 19時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鏡花@狐さん | 作者ホームページ:
作成日時:2019年10月9日 12時