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壱話 鬼 ページ3

『……んッ……?』

気が付いた。
暗い空間だ。
後ろも上も下も右も左も、全てが黒い、まるで闇の中。

『……私、腹に穴が空いて、それで、』

死んだ筈だ。でも意識がある。
ここは?一体なんなんだ??
辺りを軽く見回していると、チリンと鈴の音がする。
ふとそちらの方を見ると、白い服の男が立っていた。

『……おま、えはっ!!』

見間違えるはずが無い。
あの、前髪、あの赤い瞳、鬼舞辻無惨だ。
慌てて身構える。と言っても、武道なんてやった事も見たこともほとんど無いため、形すらなっていないが。

『…………?』

この距離なら、確実に気がついているだろうと言うのに、全く微動打にしない。
なんと言うか、形だけの空っぽの器のような……?

警戒しながら近付いて、目の前で手を振って見る。
しかし、無反応。
どこかを一点に見つめたまま、立ち尽くしている。
けどその目線の先には何も無い。

『……どういう事?』

怪訝に思いながら、叩いてみたり大声で叫んでみたり、思い付くことを出来る限りやってみるが、完全に無反応だ。

『えぇ……嫌なんだけど……今世の死亡原因と一緒の謎の空間って……』

ご都合血気術じゃねぇだろうなぁと思いつつ、この目の前の虚ろなラスボスをどうしようかと考える。
そもそもホントこの空間はなんなのだろう。

『……あぁー、分かんない……せめて何か……ヒントでもあれば……』

そう思った。
コトンと音がして、振り返ると想像した豆電球が地面に転がっていた。

『……えっ?』

驚きつつも豆電球を手に取る。
想像したのが、出て来た。
この空間、想像した物が出てくるんだ。

『……!そうだ、太陽!!』

鬼舞辻無惨は首を落としても死なない。
私は目をつぶって晴れていた空を想像する。
太陽、太陽、太陽……。

どれぐらい想像したかわからないけど、目を開けると、目の前に青い空が広がり、鬼舞辻無惨はもう何処にもいなかった。

『……あれ?』

辺りの様子が、何か違う。
何より、身体が重いし痛い。

『……ここは、』

起き上がってようやく気がついた。

『……もしかして、私、死んでない……?』

腹に空いた穴が、綺麗に塞がっている。
しかも爪が長い。
顔の端から落ちてきた何故か長くなった髪が真っ白い。

『な、なん、なん、なん、?!!???』

さっきまであった筈の雪が全く無い。
立ち上がって家まで走る。
速い、おかしい、速すぎる。

あっという間に家に着いてしまった。

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うさぎもち - この小説めっちゃ面白いです。更新、楽しみにしてます!!! (8月6日 15時) (レス) id: 6ed501a3ba (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです!これからも更新頑張ってください!(≧∇≦) (2019年11月29日 18時) (レス) id: f2a5c7d6f6 (このIDを非表示/違反報告)
あとら - めっちゃ好きです。一気に読んでしまいました!更新楽しみに待ってます!頑張ってください! (2019年10月24日 22時) (レス) id: f15d6ec153 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2019年10月24日 19時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鏡花@狐さん | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年10月9日 12時

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