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(Aside)

どうも、(はらわた)にでけぇ穴が空いて虫の息です。
えぇ、鬼舞辻無惨とか言うパワッハラも裸足で逃げ出す様なラスボスにやられましたとも。
家族を守ろうと、逃がそうと怖かったけど立ちはだかって、でも包丁じゃあのラスボスに太刀打ち出来なくて、腸に腕ぶっ刺されてぶん投げられて結構な距離飛んで木にぶち当たって少し気絶して、今更ですが、前世を思い出しました。
神様ねぇ、遅くないぃ????
せめてさぁ、無惨襲来までにはさぁ?思い出させてよ????

『ゲフッ、……』

めっちゃ血ぃ出るしさぁ、痛いしさぁ、雪の上寒いしさぁ……。
……このまま、また死ぬのかなぁ。
死ぬんだったらせめて、家族の近くで死にたかったなぁ。
こんな、ところでまた一人で死ぬなんてさぁ、寒いし、嫌だよ。
ごめんねぇみんな……私がもしもっと早くに思い出してたら死なせることも無かったのに。
ごめんねぇ、禰豆子、炭治郎。
ずっとずっと辛い思いばかりさせてるのに、もっと辛い思いさせちゃう。

そう思うと、涙が頬を伝っていく。
外気の温度に冷されて、温かい涙も体温も、次第に冷たくなって行くのがよく分かる。
真っ白な雪の上に赤い血がじわりじわりと溶けていくのが霞んだ視界に写った。

私、みんなのお姉ちゃんらしく頑張れてたかな…。
昨日の晩、聞いたばかりのみんなの「おやすみ」の言葉。
炭治郎に言った、「いってらっしゃい」。
それが、別の意味になっちゃうなんて。
母さんに、またこっそり椿油買ってプレゼントしようって炭治郎と禰豆子と三人でしていた約束。
茂と花子に、新しく出来た甘味屋さんに行こうって約束してたのに。
竹雄も、春になったら新しい着物買ってあげるって言ってたのに。
六太なんて、まだ、これから、沢山……!

『あぁあ、ああぁぁぁぁ!!!!』

腹に空いた穴が痛いんじゃない。
胸が、心が痛い。
朧気になっていく意識とは裏腹に、私は強く拳を握って雪を叩いた。
死にたくない、死なせたくない、それなのに、それなのに。
辛い、痛い、苦しい、こんなの、やりきれない。

『ッ、ゴフッ、!』

血が、一気に口から溢れ出した。
途端に力が抜けて雪の中に身体が沈む。

……あぁ、終わり、だな。

もう一ミリも動かせない指先。
空から降る雪が、包むように体の上に積もって行く。
思考も何もかもが殆ど停止して、眠るように目を閉じた。

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うさぎもち - この小説めっちゃ面白いです。更新、楽しみにしてます!!! (8月6日 15時) (レス) id: 6ed501a3ba (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです!これからも更新頑張ってください!(≧∇≦) (2019年11月29日 18時) (レス) id: f2a5c7d6f6 (このIDを非表示/違反報告)
あとら - めっちゃ好きです。一気に読んでしまいました!更新楽しみに待ってます!頑張ってください! (2019年10月24日 22時) (レス) id: f15d6ec153 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2019年10月24日 19時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鏡花@狐さん | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年10月9日 12時

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