鳥居をくぐったその先にブラック本丸あるとか聞いてない 弐 【刀剣乱舞】

伍十肆話 闇堕ち、救助、お手の物！！ ページ10

『こんのすけ、この結界から出ろ庇いながら戦うのは今の俺に出来ない』
こ「しかし…」
『ならこれを石切丸に。それを渡して使わせてここに連れてこい。彼なら使い方が分かる筈だ』

そう言って二枚の札をこんのすけに渡した。

こ「…くれぐれもお怪我を増やさないよう……」
『……善処はする』

とは言ったものの、右腕は今現在折れていて使い物にならないし…。
正直な所、死ぬかも知れない。
廊下の奥で、黒い何かが蠢いた気がした。

『…！こんのすけ！行けっ！！』
こ「は、はい！！」

こんのすけが結界から出ていったのを見計らって、短刀を抜刀して奥からのそのそと出てきた者に刃を向ける。
真っ黒い髪に赤い目。
髪からは耳が生えており、手には太刀が握られている。
面倒だな…闇堕ちか。

『……君が小狐丸か』
小狐丸(以下、小)「ﾆﾝｹﾞﾝ……ｼﾈ…」

刀身はボロボロになっており、信濃藤四郎で受ければ砕けてしまうのではないかとさえ思わせる。
まずは闇堕ちから引っ張り出さないとな…。
鞘に納めて、懐にしまう。
そして一歩踏み出せば振りかぶられる太刀。

『まずッ！』

慌てて右側に避けて左手で太刀を持つ手を掴んだ。
普段はあまり使いたくない馬鹿力が役に立ったのか、廊下スレスレで刀身が止まる。

『…あ、危な……もう少し自分大切にせんか！折れたらどうすんねんボケ！！』
小「？！！」

右手は使えないので変わりに頭突きを食らわせた。
あ、案外硬い…頭痛い……。
それは小狐丸も同じだったようで、刀を持つ反対側の手で頭を抑えている。
しめた。
掴んだ左手から霊力を流す。

『小狐丸！そのまま堕ちてていいのか！三日月さんや石切丸や岩融や今剣と会えなくていいのか？！闇堕ちしたまま折れて一人で消えるなんてそんな悲しいこと俺が絶対許さねぇ！！戻って来い！！小狐丸！！！』

小狐丸が苦しそうに呻き声を上げた。
小狐丸の中で何か黒いものがのたうち回っているのが良くわかる。
それは蛇のようにぐにゃりぐにゃりと形を変えて小狐丸に巣食っている。

『おら苦しいなら出てこいや！小狐丸の中から出て行け！！』

回復したばかりの霊力を半分程一気に送り込むと、黒いものが苦し紛れに小狐丸の中から出てくる。
それは角を生やした骸骨の蛇。
あれ、こいつどっかで……。
そうだ、この本丸に来たばかりの時に襲撃してきた時にいた短刀の…！

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