全力恋愛。Ryusei.F

LOVE 7 ページ8

貴『お待たせしましたっ！』






貴『ご、ご注文お伺い致します！』






…今日はいつもより客の入りが多く、みんな大忙し。








アルバイトで入って半年経ったけれど、未だに慣れず料理を持って店中をあたふたと慌てて駆け回る。







……一方の藤井さんは、流石としか言いようがなく、落ち着いた様子でお得意の爽やかスマイルを振りまき、女性客を虜にしている。








………私にはそんな笑顔見せてくれたことないんやけど。












そう思い少しムッとしながら、新しく入ってきたお客さんの席へお冷とおしぼりを持って行く。









貴『いらっしゃいませ、失礼致しま…………わっ！』









テーブルにお冷を置こうとした時手が滑って、中身の水をぶちまけてしまった。




幸い、お客さんの洋服は汚すことはなかったものの、少し不機嫌そう。







女客「ちょ、最悪〜…」






貴『も、申し訳ございませんっ！！』







どうしようどうしよう…、と慌てていたその時









藤「大変申し訳ございません。お洋服は大丈夫でしょうか？」






貴『へっ…』







駆けつけてきた藤井さんが、私に代わって対応をしだした。







女客「え、ええ……。洋服は大丈夫です…。」







………やはり、突然イケメンが現れたからだろうか。






私の時とは接し方が変わり、その女性客はウットリした目で藤井さんを見ている。







すると、藤井さんは私の方を向いて小さな声で








藤「…俺テーブル拭くから、替えのお冷持ってきて」








貴『は、はい！』









急いで替えのお冷とおしぼりを用意してそのテーブルに戻ると、既に拭き終わっていた藤井さん。








貴『失礼します！！』







お冷とおしぼりをテーブルに置いて、







貴『先程は、大変申し訳ございませんでした！』








バッと頭を下げてお客さんに謝る。







すると、女性客は








女客「いいのよ、それぐらい！」








……さっきと態度が違うじゃないか。









…なんて、決して口では言ってはいけないようなことを考えながらも、許してくれてホッと胸を撫で下ろした。

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