君を騙して。

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「あ、そうやA。せっかくやし、連絡先交換せえへん？」
「え……」




レトくんからそんな言葉が聞こえた。

やっぱりドキドキと鳴る胸。そんな私に、またキヨがため息をついていた。


やっぱりそんな事をされたら自惚れしてしまう。

自分の事が好きなんだ、と。




「え、いいの？」
「いいに決まってるやん。俺から持ちかけた話なんだし」
「えっと、有難う……。私も連絡先交換したい！」




その時にはもう、キヨの顔なんか見ていなかった。

きっとキヨは、今頃呆れた表情をしているだろう。


そんなキヨの表情を、見たくなかった。

それは、どこかでキヨの言葉を信じたくない私がいるからなのかもしれない。



「ん、じゃまた連絡するわ」
「有難う、私も連絡する」




そう言って、レトくんに笑みを向けた。レトくんは、そんな私を「可愛いなぁ」なんて言って頭ポンポンをする。

初めてされたので、やっぱりドキッとした。




「はあ〜。ほんとにAって、勘違い野郎だな」
「……う、うるさい、キヨ。あんたはモテて羨ましいね」




キヨは私にしか聞こえない声でそう言う。

だから、私は嫌味っぽくそう返した。するとキヨは、見下した様な笑みを見せた。

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