君を騙して。

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「あ！！」




学校からの帰り道。

見覚えのある後ろ姿が、私の前にいた。誰かな、そう思って近付く。


その人物は、レトくんだった。ひとりでつまらなさそうに歩いている。

そんなレトくんに、声を掛けた。




「レトくんっ！」
「あ、A。Aもひとりなん？」
「うん、キヨは友達と帰っちゃったし、他の友達も知らない子と帰っちゃったし」




そんな私に、レトくんは「ぼっちやな」なんて笑っていた。

ムッとして「うるさい」と返す。けれど、このままいけばレトくんと一緒に帰れるのではないか、そう思った。




「て言うか、私『も』って事は…レトくんも？」
「い、言わんといてよ！…まぁ、いい機会やし…良かったら一緒に帰らへん？」
「…っ！！」




きた！

これ、嫌な相手なら一緒に帰ろう、なんて事言わないよね？


こ、好意を持たれてるから一緒に帰ろうって言われてるんだよね？

そう思って、私はその言葉に笑顔で頷いた。




「良かった！じゃ、ほら。帰ろ」




レトくんはそういって、私との距離を縮めた。思わず顔が赤くなる。

まさか、その姿をレトくんにみられていたなんて。知らなかったんだ。

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