君を騙して。

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「レトくん！おはよう〜」


今日もいつもの様に声を掛けてくるA。けれど俺は、いつもの様に冷たい態度を取れなかった。昨日のキヨくんの発言ばかり考える。


「レトくん？ どうしたの？」


いつもなら煩い、迷惑、等と言っていたがそんな事を言える気分ではない。それに、どう反応すればいいのか分からない。Aをチラリと見て固まってしまった。


「レトくん？ 無視なんて酷くなーい？」


冗談っぽく笑うA。
しかし、そんなAに恐怖を覚えたのか、ご、ごめん と謝ってしまった。普段とは違う俺に、Aはキョトンとする。


「え、どうしたの？ なんかいつもと違うくない？」

「……べ、別に何もないから」

「いつもなら私に迷惑だとかうるさいとか言ってくるのに。どうしたの？」


誤魔化しは効かない様で、Aはそう聞いてきた。しかし、言うのは恥ずかしいものである。キヨくんがAを好きだと言ったあの時、嫉妬した気持ちになってしまった。そんな俺は、もうきっと–––––。


「……ちょっと、色々あってさ。今日の昼ご飯、一緒に食べない？」

「レトくんからのお誘い!? もちろんいいよ!!」


×××

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