君を騙して。

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心がグチャグチャになる。レトくんはまさか、私を騙していたのではないだろうか。

いや、その証拠がない。そもそも、レトくん本人に聞いていないし。

そんな言い訳をしながらも、私はレトくんの方へは行かずキヨの方へ向かった。


「キヨッ、」


キヨの後姿を見つけると、はあ はあ と息切れをする。そんな私を見て、キヨは不思議そうな顔をしていた。


「どうしたんだよ、そんな急いで」

「……わたし、騙されてたのかな。」


息を呑んでそう言った。私の言葉を聞いて、キヨも思わず黙り込む。

あの女子達が噂していた。嘘だと思ってたけど、キヨや牛沢に注意されたのを思い出す。

キヨや牛沢が言ってるんだから、本当なのかもしれない。ただの噂じゃ、ないかもしれない。


「だから言ったろ、おまえはそういう奴に引っ掛かるって」

「でも聞いて。まだレトくんには、確認してないの」

「は？」

「……あの噂のこと。もしかしたら嘘かもしれない。だからレトくんに聞いてみたい」


キヨをしっかりと見てそう言った。キヨはそんな私を見て、『じゃあ、俺もついていく』と言ってくれた。

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