君を騙して。

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「そんな怒んなくてもいいのに……」
「あれー、どうしたの、そんな顔して」

そこへ、運がいい事にレトくんがきた。よかった、相談できる。そう思った私は、『き、キヨに嫌われちゃったかもしれない……』と下を向いて言った。

レトくんは、そんな私を見て驚いた瞳を見せる。

「え? でもさっき喋ってたじゃん」
「うん、喋ってたよ。だけど、『レトさんに話しかけんな』とかばっか言ってて、ついムカッてなって言い返したら……、どっか言っちゃって。喧嘩みたいになっちゃった」

その一連を話すと、レトくんは『へぇー、キヨくんが……』なんて面白そうに笑っていて、目を疑う。心配するか、どうすればいいかわからないような顔をされるかと思っていたのに。

「え?」
「あぁ、ごめんね。こっちの話だから。俺からも少し言ってみるよ。でも俺、キヨくんはAの事、嫌いじゃないと思うよ？ ……寧ろ、」
「そう、かな……」

あの時のキヨ、すごく嫌そうな顔をしていたし。
もしかしたら、本当にレトくんに近付けさせたくないのかもしれない。寧ろ、その先の言葉が気になったけど、なんとなく聞かなかった事にした。

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