君を騙して。

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「うん、そう思ってるけど？」
「ふうん。けど俺は別に好きじゃねえから」




キヨくんはそう言って下を向いた。

なんだか、キヨくんは俺がAと仲良くなり始めてから素っ気なくなった気がする。


前までは、この事について何も言わなかったのに。

なんでだろう、そう思いながらも、それは聞かない事にした。




「もしかしてキヨくん、Aの事好きなの？」
「は!?」




けど、これは聞く。

俺がその質問をした瞬間、キヨくんの顔色が変化した。




「そんなわけねえだろ」
「あー、残念。もしそうなら面白くなると思ったんだけどね」
「……」





そう言って笑うと、キヨくんは黙り込んでしまった。

その事については何も言わず、ただ無言でキヨくんの隣を歩いたのだった。



***
それから、キヨくんの家まで辿り着いた。

キヨくんは「じゃあな」といつもよりも素っ気ない後姿を見せる。



「……じゃあね、キヨくん。また明日」
「おう」



俺の方は向かないで、キヨくんは手を振った。

俺もそんなキヨくんに手を振って、そのまま家の中に入っていった。

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