数学科の重岡です。【S.Daiki】

32 ページ33

「っわ、すみません」


「ん、あぁ、」


学校で体育大会で使うものなんかが入ったダンボールを倉庫の中に持っていく道中、曲がり角で誰かとぶつかった


「Aやん。」



ぶつかったのは1年の頃の英語の担当だった中間先生だった。
栗色で栗みたいな頭の人


「中間せんせーか、つまんな」



「おい割と傷ついたやんけこら」



と私を見つめて黙り込む先生

まじまじと見られてなんだか恥ずかしい


「え、なんですか」



「え、あ、いや、なんもないねん。」


と黙り込む中間先生

「お前さぁ「Aー」


と後ろから私を呼ぶ声が聞こえた


大好きな声、忘れる訳もなく勢いよく振り返る


「…し、げおかせんせ」




「重岡先生、どないしたんですか？」



「いや、こいつにちょっと用あったんで…


中間先生、なんか用事やったんですか？」




「や、ええねん。そんな大切な話しちゃうしな。」



じゃーなとわたしの頭をクシャッとしたあとスマートに手を振って去った中間先生



シンプルにかっこよくてムカついた



「そういえば重岡先生、どうしたんですか？」




言っても久しぶりに話すから心臓の音がうるさい。いや、うるさすぎる。



「あー、あんな。今度の委員会がな」



とただの業務連絡で少し心が重くなった


委員会のプリントを渡されて重岡先生がほな！って通り過ぎていく


深呼吸をして私もダンボールを持った



「…ってなんかおもそうなん持ってるやん」


「へ、別に行けますよ？」



くるっと踵を返してわたしに近づいてくる重岡先生



「誰やこんなおもいもん持たせたやつー！」




そう言ってヒョイっと私の腕の中からダンボールを奪う重岡先生



「あり、割と軽いやん笑」


「やからゆうたやないですか」

33→←31

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す