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inside
「頭いってぇ…」
ガンガンと痛みを増していく頭を抑えながらテレビ収録のために来たスタジオの廊下を歩く。
昨日は山田と居酒屋で飲み明かした。
飲みすぎたせいで後半なにしたかなんて覚えてないもんだから、俺がなにか失言したとしても記憶はさっぱり消え去っている。
まぁ山田も結構酔いは回ってたし大丈夫だろ。どうせ忘れてるに決まってる。
「おはよぉ〜」
「あっ、伊野尾ちゃん！来た！」
楽屋のドアを開けて軽く挨拶をするとばたばたと騒がしく足音を鳴らして駆け寄ってくる大ちゃん。
部屋を見渡すと、やぶひか以外のメンバーが揃っていた。
真ん中に設置してあるソファには山田と知念と裕翔が座っている。
「ねぇねぇ！昨日山田と何話したの！」
「んぁ？えーとぉ、近況報告と……酔いすぎてたせいで覚えてないわ」
「まじで！？じゃあさ、山田のこと、すき？」
コソッと耳打ちをしてきた大ちゃんに、首を傾げる。
いつだか聞いたセリフだなあ。それ。
どことなく引っかかりながらも、適当に「好きだけどどうしたの？」と聞いてみる。
するとなぜか嬉しそうな顔をして「そっか！」と笑い山田たちの方へ駆け寄っていく大ちゃん。
近づいて笑顔で何かを言うと、焦る様な素振りを見せて顔を赤く染めて大ちゃんをぽかぽかと殴る山田。
ああ、大ちゃん痛そう。
「伊野尾くんも大変だね」
「ほぇ、なにが？」
「ほら、有岡くん。さっきすごい迫られてたじゃん」
「あー…結局あれなんだったんだろ、俺昨日のことあまり覚えてないんだよねえ」
「えっ、まじで？」
なんなら今も痛いし。と言うと苦笑いで俺を見てくる高木。
「でも山田のこと嫌いじゃないのは嘘じゃないんでしょ？」
「はぇ？嫌いだったら普通飲みに誘わないでしょ」
「…そっか、そうだよね。伊野尾くんだもんね。山田、昨日のことあまり記憶はないけど一つだけ覚えてるらしいよ」
「へー、何覚えてるんだろ、高木知ってる？」
「それは山田に聞いて！」
俺が言うことじゃないから！と笑いながら楽屋を去っていく高木。なんだ、あいつ。
ふう、と息を着いて自動販売機でなにか飲み物でも買ってこようかと思い3人に声をかけてドアに向かおうとすると、山田がとたとたと小走りでこちらに向かってくる。
「あの、伊野尾ちゃん、俺も行っていいかな」
「ほぇ？あぁ、どうぞ」
嬉しそうな山田に「行こ」と手を引かれて俺らは楽屋の外へ出た。
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作者名：夢雨 | 作成日時：2020年3月19日 2時
