・ ページ5
ymside
「服変じゃないよな…」
伊野尾ちゃんと約束をした居酒屋さんの個室で1人、鏡を見ながら自分の容姿をチェックする。
別にメンバーに会うだけだしこんなにしつこく気にする必要はないのだけれど、なんとなく執拗に鏡を見てしまう俺。
緊張してんな…と心の中で苦笑いをしながら鏡をポケットにしまうと、タイミングよく入ってきたきのこ頭。
「あ、やまだ。ごめん待った〜?」
「いや待ってないよ。大丈夫」
いつものようにのんびりとした口調で入ってきた伊野尾ちゃんの様子に少し驚きながら大丈夫だと答える。そっかそっか、と言って俺の前に座る伊野尾ちゃんの手を何気なく見ると、少しだけ震えていて、俺と一緒で緊張してるんだ、なんて思って少し口角が上がった。
「山田とご飯全然行かないよね〜いつだっけ?行ったのって」
「んー、どうだろ。中々行けないよね」
ライブのセットの相談やユニット曲の打ち合わせは何度かしたけれど、いつやったのかは覚えていないから2人で首を傾げる。
忙しいもんね、なんて少し笑いながら店員さんに注文をして、飲み物が来る前に少し談笑する。
最近の仕事内容から休日何をするか、なんていう他愛ない話。
そんな会話すらも楽しくて、でも少し恥ずかしくて。
「よし、じゃあかんぱ〜い」
「かんぱい」
飲み物が運び込まれて2人でグラスを持ちながらカチン、と音を鳴らして乾杯をした。
96人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夢雨 | 作成日時:2020年3月19日 2時