episode123 ページ7
歩いている途中にいきなりおばあちゃんに声をかけられた。
「お嬢ちゃん、どうしたの？」
「え…？」
「悲しいことがあったのかい？」
悲しいこと…？
「えっと…？」
私がしどろもどろになるとおばあちゃんは不思議な顔をして言った。
「だって泣いてるだろう？」
泣いてる…？
頬に触れると確かに濡れていた。
「なんで…っ。」
なんで泣いてるの…？
わかんない…。
泣いたと実感するともう次から次へと涙が溢れる。
おばあちゃんは困った顔をしている。
でもなにも言葉になってくれない。
「っ…ぅっ、、」
「なにがあったのかばあちゃん分からないけど辛かったねぇ？」
辛くなんかない…。
なにも辛くないのに。
ちょっと２人で外を歩けるだけでいいのに…。
もうぐちゃぐちゃだよ…っ。
もう力が入らなくなってその場にしゃがみこんで顔を覆った。
おばあちゃんは私の背中を落ち着くリズムでトントンしてくれた。
その優しさが逆に辛かった。
「ふぇっ…ぇっ。ぅっ」
「大丈夫大丈夫ゆっくりでいいから落ち着いてね」
自分の気持ちが分かんない…。
気持ちの整理ができない。
もう自分が分からない。
何が何だか分からなくなって気持ちもぐちゃぐちゃで涙が止まらなくて泣いていた。
すると腕をガッと掴まれた。
貴「やっぱり」
「貴…くん？」
貴「すいません。この子僕の連れなんで…ありがとうございました」
そうおばあちゃんに言うとおばあちゃんは微笑んで
「その子大切にね。すごくガラスの心みたいだから。」
貴「はい。すいません。」
おばあちゃんは頷いてから歩いて行った。
貴くんは私の手をしっかり掴んで車の方へ向かっている。
貴「なんで泣いてるの」
「わかっ…ない。」
貴「分からないの？」
うまく言葉に出来なくて必死に頷く。
「自分のっ…気持ちがわかんない。」
「なんで泣いてるのかもわかんないの…っ」
貴くんは何も言わなかったけどその代わりに手を強く握ってくれた。
。
。
。
。
貴くんに出会っていろんな感情を知ったんだよ。
いろんな感情を知っていくうちに自分がどんどん醜くくなってる…
恋するって…苦しいって…
私…はじめて知ったよ…。
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作者名：かずみ | 作者ホームページ：http://kazumidaikilove415
作成日時：2017年11月19日 17時
