episode157 ページ41
深「やっぱり〜！貴久だぁ！久しぶりっ」
ニコニコしながらこっちに向かってくる。
貴くんのことを貴久って呼ぶほど親しいんだ…。
貴「…深月」
「…え」
貴くんが名前で呼んでる…。
それだけで分かる。
二人は親しい…。
深「貴久に会いたかったよ…ずっと。」
「…貴くん…っ」
私が貴くんを呼ぶと貴くんは私の方を見た。
貴「あぁ…ごめん」
なにがごめんなの…？
深「…だれ？その子…彼女じゃないよね？」
貴「いや…彼女」
深「え…なんで？なんで？だって…私！」
深「貴久のために女優やめてきたんだよ…？」
「…女優…？貴くんのため…」
私がそう言うと貴くんはいきなり私の耳を塞いだ。
何も聞こえなくなって貴くんを見上げると…
私の視線に気づいて何も見せないようにギュッと抱きしめた。
抱きしめられてると貴くんから香水の匂いがする。
この匂い嫌い…。
私には聞かせたくない話…。
。
。
。
耳を塞がれてから数十分…。
やっと解放された。
貴「とりあえず…今日はもう帰るから」
深「…納得出来ないそんなの」
貴「A行くよ」
そう言って私の腕を引っ張って連れていく。
深月さんの横を通り過ぎようとした時…
深「でも…貴久忘れられてないんだね？」
深「ここ…二人だけの秘密の場所だもんね？」
ここは…私が初めてきた場所。
貴くんはお気に入りだからって。
深月さんともきてたんだ…。
一番は深月さんなんだね…？
車に乗り込むと嫌な空気になってしまった。
話しかけたいけどかけられない。
なんて話しかけたらいいのか…。
でも…ちゃんと聞かなきゃ…。
「…だれ？いまの人」
貴「付き合ってたやつ…。昔ね」
やっぱりそっか…。
「そっか…」
もう何も言えない…。
だって…私が何を言ったとしても変えられないんだから。
「…そっかぁ〜…。あそこも秘密の場所だったのに私に教えてよかったの？」
ちょっと嫌味ったらしいかったかな…？
貴「そうじゃない。ただほんとにAと行きたかったの。」
「…ん。ありがと」
その後は特に話すこともなく家に着いた。
車を出る時に言われた。
貴「今はあいつのことなんともおもってねーから」
「ん？」
貴「今はAがいればそれでいい…」
「…貴くんっ」
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作者名：かずみ | 作者ホームページ：http://kazumidaikilove415
作成日時：2017年11月19日 17時
