もう1度だけ4 (ページ3)

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episode119 ページ3

私に馬乗りになって貴くんは何度も角度を変えてはキスをする。

「いっ…やぁっ…んっ」

貴くんの胸を押すようにして拒むけど…

貴くんは両手で私の手を頭の上で拘束する。

なんで…

嫌なのに…っ

「ふぇっ…っ」

貴「っ…！」

貴くんは私の顔を見て驚く。

それは私が泣いていたから。

私を離した貴くんはバツが悪そうに自分の髪をクシャッとした。

「キスしたら機嫌がとれるって思ったの…っ？」

私がそう尋ねると貴くんは言った。

貴「俺がしたかったからしただけ」

「昔とは全然違う…っ」

昔は…。

「昔はもっとドキドキしたのに…っ今はやだよ！」

睨みながら貴くんに言うと貴くんはため息をついて言った。

貴「お前はもっとめんどくさくなったね」

めんどくさい…

「それを知って付き合ったのは貴くんじゃんっ…」

分かってるよ…自分だって。

めんどくさい奴って。

貴「別にさ…飲み会くらい良くね？」

なに開き直ってんの…？

「別に行ったらダメなんて言ってないじゃん！」

「私が言ってるのは…私と約束してるのにどうしてそっちを優先させるのってこと！」

昔は飲み会なんて行ってなかった。

お酒だって私と約束してる時飲まなかったのに…。

「貴くん…変わっちゃったんだね」

そう言うと貴くんはちらっと私を見て

貴「それはお互い様じゃね？」

「もう…今の貴くんと話してても解決しないから」

「私今日は帰るね…。」

貴「は？今からなんて帰れねーだろ。電車だってもう動いてねーのに。」

行くところくらいあるし…。

「私は友達の家に泊まるからいいです！」

貴「誰だよ」

「別に貴くんになんて関係ないでしょっ！」

貴「あ？」

私の態度に苛立ったのか貴くんは舌打ちをした。

私だって怒ってるんだからっ

「もう泣いて謝っても許してやんないっ！」

そういう私に負けじと貴くんは…

貴「それはこっちのセリフ。」

もうっ…！！

「ばかっ！」

そう言って貴くんの家を飛び出した。

貴くんの家を出たあと私は電話をかけた。

『もしもーし』

「もしもし？」

『あれ？Aじゃん。どーした？』

「今から家に行ってもいい…？」

『いいけど…なんで？』

「まぁ理由は後で話すから…」

電話を切ってその人の家へ向かった。