玖 ページ10
「葬式ガアル」
鴉が言った。
鴉は、私に場所と日時を教え、飛び去っていった。
「……ぅ……っ」
杏寿郎さんは死んだ。
私はその事実を受け止めなければならない。
でも涙が溢れるだけで、受け止めるなんてできなかった。
彼のことだ、最期まで立派に戦い抜いたのだろう。
だけど、もう杏寿郎さんの温かさに触れる事はできないのが、どうしようもなく悲しい。
・
葬式当日
・
「槇寿郎さん……ですか」
誰かが俺に声をかけた。
「……この度は、誠にご愁傷様でございます。心からお悔やみ申し上げます」
整った顔立ちをした、若い女だった。
「……あの、覚えていらっしゃいますか。昔、貴方に鬼から助けていただいた藤咲Aです」
名前を聞いてやっと気付いた。
彼女は藤の家門の家の娘で、確かに自分が救った。
そして
「……杏寿郎の、恋人か」
「______！ ご存知だったんですね」
「 “紹介したい女性がいる” と……任務に行く前、杏寿郎が俺に言ってきた。……“結婚したいと思っている” とも」
______そこまで想っている女がいるのなら、ちゃんと帰ってこい。
……愚かな息子だ。
・
「あの、藤咲さんですよね。父が何か失礼な事を言いませんでしたか？」
槇寿郎さんとの話を終えると、杏寿郎さんにそっくりな男の子に話しかけられた。
「大丈夫よ。……ええと、君は……」
「あっ、すみません。煉獄杏寿郎の弟の千寿郎といいます」
この子が千寿郎君……。
杏寿郎さんの話によく出てきたな。自慢の弟だって。
「兄は、貴女からの手紙を読んでいる時や、貴女と出かける日はすごく幸せそうでした」
少し間を置いて、千寿郎君が続ける。
「兄を好きになってくれて、本当にありがとうございます」
・
「……杏寿郎さん」
安らかな寝顔。
でも、もう返事をしてくれる事はない。
あの声で私の名を呼んでくれる事はない。
・
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長篠(プロフ) - もっぴいさん» ありがとうございます！もう少ししたら続きを公開するので楽しみにしていて下さい(^^) (2019年12月2日 21時) (
レス) id: dff0e36449 (このIDを非表示/違反報告)
もっぴい - 転生者ですか？とっても面白かったので評価10つけときます^_^ (2019年12月2日 21時) (レス) id: 1e3d085ec9 (このIDを非表示/違反報告)
長篠(プロフ) - 鬼滅大好き女さん» あ〜〜ありがとうございます！！すごく嬉しいです！更新頑張ります！ (2019年11月25日 17時) (レス) id: dff0e36449 (このIDを非表示/違反報告)
鬼滅大好き女 - 続きが楽しみすぎる！！れんごくさんの手紙の場所で私泣いた､､､応援してます！！ (2019年11月25日 16時) (レス) id: 42353d0864 (このIDを非表示/違反報告)
長篠(プロフ) - 竜胆友さん» ありがとうございます！更新頑張ります！ (2019年11月20日 19時) (レス) id: dff0e36449 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長篠 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HoMePaGe/
作成日時：2019年11月3日 10時
