検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:34,843 hit

ページ5

煉獄さんは任務の後には必ず手紙をくれた。

彼の無事を確認できるし、他愛のない話をするのはとても楽しかった。



そして今、私は、母と姉の着せ替え人形になっている。

場所は、義兄が働いている呉服屋の奥の部屋。



「ん〜……これが良いかしら」

「母さん、こっちも捨てがたいわよ」



……私の意見も聞いてください。



______先日届いた煉獄さんからの手紙に、

“次の水曜日は非番なので、もし良ければ一緒に出かけたい”

と書いてあったのが事の発端。

……その “次の水曜日” というのが明日で、何を着ていくか母と姉が考え始め、今に至る。



「それにしても……Aが私達にどんなのを着ればいいか相談してくるなんて……」

「煉獄さんからのお誘いがよっぽど嬉しかったのね」


そうだ。本当に嬉しかった。

彼に少しでも可愛く見られたくて母達に相談したんだ。

……もしかしたら、私は______


「あ……」


ふと右を見ると、橙色の地に菊があしらわれた着物があった。

橙色……。

あまり着た事がない色だ。

でも、あの人を思い浮かべてしまう素敵な色。


「……母さん、姉さん。私、あれを着たいわ」


橙色の着物を指さすと、母と姉は素早く着付けを始めた。









姿見に映っているのは、橙色の着物を着て、口には紅が引かれている、いかにも “女の子” といった感じの私。

こんなに着飾ったのは初めてかもしれない。

「Aちゃん、着替え終わったかい?」

「義兄さん! はい、終わりました。入っていいですよ」

障子の前で義兄が話しかけてきた。

彼が呉服屋の主人に頼んで好きな着物を選んでいいようにしてくれたので、彼には感謝している。

「すっごく可愛いよ、Aちゃん。例の鬼狩り様もきっと見蕩れると思う」

義兄や、母、姉も褒めてくれた。

だが、それらは殆ど聞き流していた。

私の頭にあったのはただひとつ。

煉獄さんに気に入ってもらえるかどうか。



私の心を占める彼の割合がどんどん大きくなっていく。

伍→←参



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
69人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

長篠(プロフ) - もっぴいさん» ありがとうございます!もう少ししたら続きを公開するので楽しみにしていて下さい(^^) (2019年12月2日 21時) (レス) id: dff0e36449 (このIDを非表示/違反報告)
もっぴい - 転生者ですか?とっても面白かったので評価10つけときます^_^ (2019年12月2日 21時) (レス) id: 1e3d085ec9 (このIDを非表示/違反報告)
長篠(プロフ) - 鬼滅大好き女さん» あ〜〜ありがとうございます!!すごく嬉しいです!更新頑張ります! (2019年11月25日 17時) (レス) id: dff0e36449 (このIDを非表示/違反報告)
鬼滅大好き女 - 続きが楽しみすぎる!!れんごくさんの手紙の場所で私泣いた、、、応援してます!! (2019年11月25日 16時) (レス) id: 42353d0864 (このIDを非表示/違反報告)
長篠(プロフ) - 竜胆友さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年11月20日 19時) (レス) id: dff0e36449 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:長篠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HoMePaGe/  
作成日時:2019年11月3日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。