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葬式から数日経ち、だいぶ気持ちも落ち着いてきた頃。

鬼殺隊の少年がうちにやってきた。

「鬼殺隊の竈門炭治郎といいます。煉獄さんから藤咲Aさんへの言葉をお伝えに参りました」

「杏寿郎さんが……? と、とりあえず中へどうぞ」

竈門君は杏寿郎さんの最期を見届けたのだそう。

























『煉、煉獄さん、もういいですから。呼吸で止血してください……。傷を塞ぐ方法はないですか?』

朝日を受けて、煉獄さんの腹に貫通した猗窩座の腕がボロボロと崩れていく。

『無い。俺はもうすぐに死ぬ。喋れるうちに喋ってしまうから聞いてくれ』

煉獄さんにそう言われ、口を閉じる。



『弟の千寿郎には、自分の心のまま、正しいと思う道を進むよう伝えてほしい。

父には体を大切にして欲しいと。

そして、藤襲山から二里程東へ行った所に藤の家門の家がある。

そこの藤咲Aという女性に、“ 愛していた ” と伝えてくれ』



Aさんの事を話す煉獄さんからは優しくてほんのり甘い匂いがした。

でも…… “ 愛していた ” んじゃなくて、“ 愛している ” んじゃないのか……?



















会った時からずっと深い悲しみの匂いがするAさんに、煉獄さんの最期を話すのは少し気が引けるけど、きちんと伝えなければ。



「煉獄さんは誰も死なせませんでした。汽車の乗客200人も、俺達鬼殺隊の後輩も、皆を守ってくれました。そしてAさんを……“ 愛していた ” と……言っていました」


すると、Aさんの匂いが変わった。

悲しみの匂いに加えて、怒りの匂い。


「……杏寿郎さん……そんな事、言わないでください。

愛していたとか、自分の事は忘れて他の男を見つけろとか、私を思って言ってくれてるんでしょうけど、そんなのいりません……!

忘れられる訳ないじゃないですか……。意地でも忘れませんから……。

______杏寿郎さん、私は……貴方を許さない」


涙を流しながら、ここにいない煉獄さんに向けて言うAさん。

彼女からは悲しみの匂いも怒りの匂いも勿論するのだが、あの時の煉獄さんみたいな……優しい匂いもする。

嗚呼、この人は本当に煉獄さんが好きなんだなあ。

大好きだから、煉獄さんがそう言った意味も分かるし、大好きだからこそ、そう言ったのが許せないんだ。

拾壱→←玖



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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長篠(プロフ) - もっぴいさん» ありがとうございます!もう少ししたら続きを公開するので楽しみにしていて下さい(^^) (2019年12月2日 21時) (レス) id: dff0e36449 (このIDを非表示/違反報告)
もっぴい - 転生者ですか?とっても面白かったので評価10つけときます^_^ (2019年12月2日 21時) (レス) id: 1e3d085ec9 (このIDを非表示/違反報告)
長篠(プロフ) - 鬼滅大好き女さん» あ〜〜ありがとうございます!!すごく嬉しいです!更新頑張ります! (2019年11月25日 17時) (レス) id: dff0e36449 (このIDを非表示/違反報告)
鬼滅大好き女 - 続きが楽しみすぎる!!れんごくさんの手紙の場所で私泣いた、、、応援してます!! (2019年11月25日 16時) (レス) id: 42353d0864 (このIDを非表示/違反報告)
長篠(プロフ) - 竜胆友さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年11月20日 19時) (レス) id: dff0e36449 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長篠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HoMePaGe/  
作成日時:2019年11月3日 10時

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