壱 ページ2
母と姉と一緒に夕餉を作っていたら、ドンドンと門を叩く音が聞こえた。
料理は母達に任せ、私が外に出た。
門の前にいたのは、昔助けてくれた鬼狩り……煉獄槇寿郎さんにそっくりな人だった。
私と同い年か、少し年上かもしれない。
淡い月の光を受けて輝く髪。
あの時は後ろ姿で見えなかった瞳。
______とても綺麗。鬼のいない太陽の下で見たい。
そう思った。どこを見ているのかわからない不思議な目をしているけれど、何故か惹かれた。
「俺は鬼殺隊の階級・甲、煉獄杏寿郎だ! 怪我をした為、ここで療養させてほしい!」
「
鬼狩り様を部屋に案内する。藤の花がよく見える部屋だ。
「お風呂がもう直ぐ沸きますが……夕餉の前に入りますか?」
「うむ! そうさせてもらおう!」
「わかりました。ではその後夕餉をお部屋にお持ちしますね」
風呂の場所を伝え、浴衣や手拭いを渡して部屋を出る。
台所に行くと、丁度料理の盛り付けをしているところだった。
「母さん、姉さん、鬼狩り様がいらっしゃったわ。お風呂の後に夕餉を食べるって。私がお部屋に持って行きます」
今日の献立は、ご飯、鯖の味噌煮、さつまいもの味噌汁。
頃合を見計らい、料理を持って部屋に向かった。
「失礼します。Aです。夕餉が出来ましたよ」
部屋の前で声を掛けると返事がした。障子を開けて中に入る。
「さつまいもの味噌汁ではないか! 俺の好物だ!」
「ふふ、喜んでもらえて何よりです」
彼があまりに嬉しそうに笑うので私もつられて笑ってしまった。
太陽のように温かく優しく笑う人だ。
いただきます、と手を合わせて食べ始めた彼。
「うまい! うまい!」
急にそう言うのでびっくりした。
「あ、ありがとうございます……」
「わっしょい!」
「わっしょい……?」
「わっしょい! 見事な藤だな!」
わっしょいから藤の話になった……。
「そうでしょう。うちの自慢なんですよ。それに、私は稀血なので……。藤の花は御守り代わりです」
「稀血か! 藤があると心強いだろう!」
「はい。……あ、私が鬼に襲われた時に助けてくれた人が煉獄槇寿郎という方なんですが、もしかしてお父様ですか?」
一瞬、目の前の彼の動きが止まった。
「ああ! 俺の父だ! だがもう鬼殺隊を引退している!」
「そうなんですか……」
少し残念。また会ったらきちんとお礼をしたいと思っていたのに。
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長篠(プロフ) - もっぴいさん» ありがとうございます!もう少ししたら続きを公開するので楽しみにしていて下さい(^^) (2019年12月2日 21時) (レス) id: dff0e36449 (このIDを非表示/違反報告)
もっぴい - 転生者ですか?とっても面白かったので評価10つけときます^_^ (2019年12月2日 21時) (レス) id: 1e3d085ec9 (このIDを非表示/違反報告)
長篠(プロフ) - 鬼滅大好き女さん» あ〜〜ありがとうございます!!すごく嬉しいです!更新頑張ります! (2019年11月25日 17時) (レス) id: dff0e36449 (このIDを非表示/違反報告)
鬼滅大好き女 - 続きが楽しみすぎる!!れんごくさんの手紙の場所で私泣いた、、、応援してます!! (2019年11月25日 16時) (レス) id: 42353d0864 (このIDを非表示/違反報告)
長篠(プロフ) - 竜胆友さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年11月20日 19時) (レス) id: dff0e36449 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長篠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HoMePaGe/
作成日時:2019年11月3日 10時