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お宅訪問→看病* ページ17

A「え、勝手に…って」
健二郎「かばんあさってさ」
A「私どうやって移動した?」
健二郎「俺がだっこして」
A「きゃああああああっ!!」

思わず後ずさる。
背中がベランダへ続く窓にぶつかる。
健くんはリビングへの扉の近くから
どかないらしくて私の近くに来なかった。

健二郎「ごめんな、勝手に…起こすん可哀想やなって思ってんけど…」
A「私…」

健くんがそんなことするわけないと
わかっていても服の中を確認してしまう。

健二郎「俺何もしてないから!!」
A「うん、知ってる…」

しばらく無言が続く。
先に沈黙を破ったのは健くんだった。

健二郎「……あ、明日も仕事やろーから……俺帰るわ」
A「あ、うん…」
健二郎「お邪魔しました…」
A「うん…」

健くんが帰ってからも何かする気には
なれなくて、なんとなくシャワーを浴びた。
そのすぐ後にベッドに入る。

A「……」

またね、って言った方が良かったかな。
今日はありがとう、って言った方が良かったかな。
後悔が渦巻く。
モヤモヤしたまま眠りについた。

翌日。
いつも通り用意をして家を出た時に気付く。
……鍵が違う。

A「…」

心当たりならある。
昨日健くんが間違えて私の鍵を持って帰ったの
かもしれない。
そして健くんの鍵を私が持っていて…
でもそれなら一晩中健くんは…
健くんの家が私の家の下の階なのか
上の階なのか知らない。
とりあえずエレベーターに乗り込む。
先に上に行こう。

A「健くん!?」

一つ上の階の私の家の場所を見ると
健くんが扉の前で倒れるように眠っていた。

健二郎「ああ、おはよ」
A「え!ちょっと!!」

暖かかった健くんの手に触れると
生きてないかと思うくらい冷たかった。

A「ごめんね」

私は健くんの家の鍵らしきものを
鍵穴に突っ込む。
ガチャリと扉が開く。

健二郎「やっぱり取り違っとったんかー」

のほほんとしている健くん。

A「寒かったのに………ごめんなさい」
健二郎「んーん、ええねん。」

くしゃみをして家に入っていった健くん。
風邪ひいてる気がする。なんとなく。

A「……っ」

さっきまで冷たかった手に触れると
火傷するくらい熱くなっていた。

健二郎「……?」
A「熱、ある」
健二郎「そんなことないでー?」
A「…私仕事休むから健くんも休んで。昨日結局仕事のこと知れなかったけど休んで。」
健二郎「え…?」
A「インフルかもでしょ」

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作者名:相川優羅 | 作成日時:2017年2月12日 21時

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