ブルーの一雫

・ ページ10

＿＿＿＿



「ほんまに優しいな、キハルくんは…」



目を伏せ、悲しそうに言う羊くん…僕はかける言葉を間違えたのだろうか



『…』



お風呂場には


頭を洗う音と2人の静かな呼吸音しか聞こえない
とても、とても寂しい空間




＿＿




チャプン＿＿＿



2人で湯船に浸かる



『はぁ…温かいなぁ…』


「ホントやねぇ…」




先程の空気感は消え、僕らはのほほんとお話し中




「…この空気ぶち壊す様で申し訳無いんやけど、


　さっきの話の続き言ってもええ…？」



驚いた、そっちから話してくれるとは！



『全然ええよ、悩みは溜め込まないで吐き出した方がええからね』




「僕の好きな人の話聞いてくれる？」



『おぉ！聞きたい！聞きたい！』



クスッと笑って話し始める羊くんはとても楽しそうだ



「その子はな、いつも優しいんよ

　でも、鈍感過ぎて僕の片思いに10年間も気付いてくれないんよ」





『付き合いが結構長いんね…』




時々相槌を打ったりして話を聞く
出来るだけ羊くんが嫌だと思わない様に話を聞く

　


「付き合いは長いで、僕が産まれる前からおったから、その子

　僕より歳上なんよ…その子な…まぁ雰囲気は僕より歳下やけどね、笑」




「身長も僕より低い、小柄で凄い可愛いんよ笑」



その子の事を話す羊くんはとても楽しそうで幸せそうな顔をしている
なんか悔しいな…笑



僕の方がきっと、長く居るのに


なにいらん嫉妬してるんでしょう…笑




「でもな、その子は身内なんよ。」



『…』


身内…


じゃあ、100%と言っていい程叶わない恋って事ですね…
思っちゃいけない事ですが、可哀想です…



「叶わない恋なのは知ってるんよ」



「でもな、他の誰かに取られる前に噛み跡だけでも残しておきたいんよ」



声色が変わった



僕の方を向き、獲物を捕えた様な目付きで微笑む君



「ごめんな、キハルくん」



チュッ＿＿



『え…？』



キスされた？



「ごめんなぁ…キハルくんこうでもしないと気付かないやろ？」


「だって、僕の長年の片思いにも気付かへんのやから…笑」




『羊くんは…僕の事が好きなん…？』




「うん、好きや。

　大好き超えて愛してる。昔からずーっとな。」




『…』




衝撃的過ぎて頭がついて行かない
ぶっ壊れそうになってる




「なぁ、キハルくん」









　“キハルくんの事喰ってもええ？”




チュッ＿＿



またリップ音が響いた



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