ブルーの一雫

・ ページ13

＿＿＿＿


俺よりも前をどんどん進んで行くネスを必死に追い掛けながら
頭の中ではミヒャは平気かと不安でしょうがない



「はい、ここです」



案内された病室のドアノブに手をかける



ガラッ＿＿



『ミヒャ！大丈夫かッ！！！』



「おいッ！カイザーは先程起きたばかりなんですよッ！！？」


「いきなり、大声とかバカなんですかッ！？」


「…」


「おいネス…クソうるさいぞ」


「頭にクソ響く」




「失礼しました、カイザー」



『ミヒャ、大丈夫か？』



今度は通常の声のボリュームで話しかける




「…誰だ？お前」


「何故、俺の名前を知っている？初対面でその呼び方クソ失礼だな」



初対面…？



『え…？』



初対面な筈がない、だって…付き合ってるし同棲だってしてる
朝も抱き締めてくれたし…



「？」



ほら、あのネスも困惑してるよ




『ミヒャ…？俺ら付き合ってんじゃん…変な冗談はよせよ…？』



　
「俺とお前が付き合っている？


　はぁ…クソみたいな嘘はやめてくれないか？


　それに、お前男だろう？」




何かが崩れる音がした



『はは…ごめん嘘付いた、ただの友達だよ』

『忘れちゃったっぽいけどな…笑』




「カイザー？キハルの事を覚えてないんですか？」



「あ？キハル？誰だ？」



「っ…ひとまずナースコールを押しましょう。」


あのネスも驚いてるや笑



「あぁ」



＿＿＿





［事故により頭を強く打った事による記憶障害ですね…］


［珍しくある特定の人物の記憶だけ丸々無くなっていますね…］



「そうか…だがソイツの記憶がなくなっただけだ

　俺に害は無いだろう？なら、クソ問題ないな」



グサッて何かが心に刺さる感覚
君に冷たくされるのってこんなにも辛いことだったけな


「カイザーがそう言うのならそうですね。」


［取り敢えず、怪我が完治するまで入院しましょう］


「あぁ、分かった」


「なぁ、お前いつまでここに居るつもりだ？」


『あ、いや、』


もう、無駄か…



『もう帰るな！じゃあな！』


涙が出てきそうだけど頑張って笑う
だって…知らない男がいきなり泣き始めたら嫌だろうから


「キハル、少し話があります」



「カイザー少しお待ちを。」


「あぁ。」



＿＿＿

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