深澤さんちの九人兄弟 (ページ19)

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康「───っ！」

眠ってからどのくらい時間が経ったんだろう。枕元の時計を見るとまだ一時間しか経っていなくて…

久しぶりに嫌な夢を見た。父さんと母さんが、二人で旅行に行く日の朝。飛行機事故が起こったあの日、

康「…〜っ、ぅ、」

涙が止まらなくなってしまって身体が震えてきた。蓮はぐっすり眠ってる、起こしちゃだめだ…蓮に気付かれないようにティッシュで涙を拭いて静かに部屋を出る

康「………」

翔「康二？どうした、トイレ？」

康「……しょうにぃ…」

翔「…どうした？辛くなっちゃったか」

リビングへ向かうと、水を飲んでいた翔兄がいて。優しく声をかけられると引っ込んだ涙がまた溢れて来てしまった

翔「立ってないでこっちおいで、大丈夫だよ」

康「うっ、うぅ…」

翔兄と一緒にソファに座る。俺が泣いている間、翔兄は声をかけてくれるわけでもなく、ただ黙って俺の背中を撫でてくれていた。無言の優しさがひしひしと伝わってきて、俺は翔兄の肩に頭を乗せる

康「…ゆめ…みた、」

翔「夢？」

康「…父さんと母さんが、事故に遭った日の、」

翔「そっか…」

康「ごめん…もう泣いちゃだめなのに…おれ、おにいちゃんなのに…」

蓮や真都に比べたら、二人と過ごした時間はとても長かった。たくさん愛してもらったし、二人が生まれるまでは俺が末っ子だったからたっくさん甘やかしてもらった

だから、これからはそれを蓮と真都に全て注がなきゃいけないのに…もう、泣いちゃだめなんだ

翔「いいよ、好きなだけ泣きな」

康「……」

翔「そうじゃないと、お前泣かないじゃん。ずっと笑って兄貴ぶるだろ」

康「…だって、俺お兄ちゃんやもん」

翔「蓮と真都にとってはな。でも、俺たちにとってはまだまだ可愛い弟だよ」

康「………翔兄〜〜っ……ばかぁ、なみだとまらん〜」

翔「おーおー、泣け泣け」

康「…ぐすっ、…他のお兄ちゃんたちには内緒にして…」

翔「ふはっ、分かったよ」

今でもこうやって甘やかしてくれる存在があるから俺はお兄ちゃんで居られるのかもしれない。

翔兄に部屋まで着いてきてもらってドアを開けると、ぴょんと蓮が飛んで来た。隣に気配がなくて起きちゃったって。こうちゃんいなくてさみしかったぁ…って泣きそうな顔しちゃって…

康「ぎゅってして寝ようね」

蓮「…うん！」

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