深澤さんちの九人兄弟 (ページ13)

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涼「3番テーブルにお願いします」

「はい！」

俺が働いているイタリアンレストランは昼から夜にかけてが一番客足が多くなる。この辺では結構有名なお店だからか、色々な世代のお客さんが訪れる。

お店は年中人手不足で平日休日問わず、毎日毎日忙しい。だけどとてもやりがいを感じているし、俺はこの店がとても好きだ。

「深澤くん、今日遅くなっても大丈夫な日？」

涼「え？」

「新メニュー考えたくて、深澤くんの力も借りられたらなって…もし難しいようだったら仕込み終わったらすぐ帰ってもらって大丈夫なんだけど…！」

涼「…ああ、いや、大丈夫ですよ。俺も残ります」

「本当？ありがとう、助かるよ」

本当は出来るだけ蓮や真都が起きている時間に帰りたいけど…日頃お世話になっている店長の為に力になりたいし。

きっと他の従業員やシェフたちも残るんだから、俺だけ帰らせてもらうわけにはいかない

涼「じゃあ、お疲れ様でした」

お店を閉めて、仕込みを終わらせて、新メニュー会議をして…結果、帰れたのは日付が変わった頃だった。

様々な案が飛び交った会議はすごく為になったし、今一度頑張ろうと奮い立たされたような気がした。一応辰哉兄さんにだけ連絡をして家路を急いだ。

翔「あ、帰ってきた。おかえり、涼太」

辰「おかえり。遅くまでお疲れ様」

涼「…ただいま。辰哉兄さんは起きてるだろうと思ったけど…翔太まで起きてたの？」

翔「飲んでた。涼太も飲もうぜ」

涼「じゃあ、一杯だけ…」

辰「無理すんなよー？」

翔太から缶ビールを受け取って、辰哉兄さんが温めてくれたカレーを食べる。自分で作ったものだけど自分の家に帰ってきた、と安心感で包まれる

辰「明日は康二が朝飯作ってくれるってさ」

涼「え、そうなの？」

翔「うん。涼兄はゆっくり起きてやーって言ってた」

涼「…ふふ、そっか。じゃあお言葉に甘えようかな」

辰「いつもありがとね」

頼もしい兄さんたちと、優しい弟たちに恵まれて本当に幸せ者だなと感じる。仕事はもちろん好きだけど、俺が一番好きなのはこの家だ

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