◎渡辺くんはいつも不機嫌

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『…深澤くんの私服も、かっこいい、よ？』


深「え、マジ？」


『うん、似合ってる』


深「…………」


『…あ、ごめんね。上から目線みたいになっちゃって、…えっと』


深「いや、うわ、マジかー…」


『深澤くん？』




はー…とため息をついて顔を覆ってしまうから。どうしたんだろうって顔を覗き込もうとすると『見ないで』って言われてしまった。



なんか、気に触る事でも言ってしまったのかな……。そう思っていたら、指の隙間から深澤くんの真っ赤な顔が見えた。




深「超嬉しいんだけど、」


『……顔、真っ赤だよ』


深「Aちゃんも真っ赤」


『…へへ、釣られちゃったかも』


深「もー…辞めてよ、心臓に悪い」


『ふふ、ふふふっ、』


深「笑ってないで行くよ！」


『はぁーい』




ガシガシと乱暴に自分の頭を掻いた深澤くんが何だか可愛くて小走りで後ろをついて行った。







それからは本当にあっという間だった。深澤くんオススメのラーメン屋さんに行ってお昼を食べて、ゲーセンのクレーンゲームで深澤くんがスゴ技を見せてくれて周りに人集りが出来たり。




『本当にこんなに貰っちゃって良かったの？』


深「勿論。てか、押し付けるみたいになっちゃってごめんね、持って帰れる？」


『うん、大丈夫だよ。ありがとう』




紙袋いっぱいのぬいぐるみやストラップ。全部クレーンゲームで深澤くんが取ってくれたもの。本当に上手で驚いた。深澤くんにあんな特技があるなんてちょっと意外だったなぁ。




深「俺ばっか楽しくなっちゃってごめんね？退屈だったでしょ」


『え？私も楽しかったよ？』


深「…ホント？」


『うん、勿論。ゲーセンなんてあんまり行く機会ないし、楽しかった』


「ならよかったあ」


『？』


深「今日めっちゃ緊張してたんだよね、俺」


『…そうなの？』


深「Aちゃんに楽しんでもらおうと必死だったんだけど、結局俺の好きな事ばっかしちゃって、」




『俺カッコ悪いよね』なんて自嘲気味に笑うから、そんな事ないよ、と首を横に振る。



深澤くんが話してくれる事は全部面白くて、一緒に居て凄く楽しかった。そう伝えれば、深澤くんは一瞬驚いたような顔をしてからすぐにまた笑った。







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