◎渡辺くんはいつも不機嫌

□深澤くんと絆創膏 ページ14

・


・






委員会の役割は思ったよりも多くて、生徒が怪我をしないように。とか、この競技はどうやったら上手くいくか。とか、そんな事を何度も何度も話し合って気が付けば外は赤くなっていく。




深「あれ？翔太はー？」


『飲み物買ってくるって、ラウールくんたちも一緒に行ったよ』


深「本当だ。アイツら全員で行ったのかよ(笑)」


『渡辺くん、凄い懐かれてるよね(笑)』


深「俺もちゃんと懐かれてるからね！？」


『ふふ、分かってるよ』




渡辺くんと距離が縮まるのもそうだけど、深澤くんとも距離が縮まったような気がした。深澤くん、人の事をよく見ているのか自分では気付かない所に気づいてくれて声を掛けてくれたり。



いつもは渡辺くんや佐久間くんにイジられてるけど、優しい人なんだなぁと思った。




深「──痛っ、」


『？、だいじょ、ぶ！？』


深「ふはは〜切っちゃった、」




へらっと笑って見せてくれた深澤くんの指には血が滲んでいて。紙で指を切ってしまったみたい。『紙だし大丈夫大丈夫〜』なんて言ってるけど、結構深く傷が入ってるみたいで、血は流れ続けていた。




『ティッシュ、…無いんだった。ごめん、ハンカチしか無いけど、これ使って』


深「え、汚れちゃうじゃん」


『いいから。制服とか汚れちゃうより全然マシ！ちょっと待ってて、』




半ば押し付けるように深澤くんにハンカチを渡して、鞄の中をゴソゴソと漁る。確か絆創膏あったはず。ポーチの中に常備してある絆創膏を一枚取って、深澤くんの元へ戻る。




『あ、一回洗った方がいいかも』


深「…え、あ、うん。そーね。行ってくる、」







・


・

□→←□渡辺くんと後輩くんたち

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す